NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ファンタズムV:ザ・ファイナル」(55点/サスペンス)

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■■■「ファンタズムV:ザ・ファイナル」■■■
(55点/サスペンス)

 今も荒野をさまよって親友のマイクとジョディの兄弟を捜すレジーは、殺人機械であるシルバースフィアの襲撃をかわして異次元からの侵略者である宿敵のトールマンと再会する。

 トールマンから意外な取引を持ち掛けられた彼はその言葉に心を動かされるが、あまりにも多くの次元を行き来した彼はやがて何が現実で何が夢なのかが分からなくなっていく。

 しかしその頃レジーたちの世界では、巨大なシルバースフィアの襲撃を受けて世界が破壊されようとしていた…



 異次元からの侵略者との戦いを描いたSFサスペンス風味のアクションホラー映画。

 いわゆる、ドン・コスカレリ監督のライフワークである「ファンタズム」シリーズの完結編に当たる作品です。

 今回はドン・コスカレリは制作と脚本のみの参加のようですが、お話としてはキチンと前作からの続きの内容になっています。

 もともと低予算ながらも独特の雰囲気とか世界観で人気の出たシリーズでしたが、シリーズが進むにし従って『お話の規模』がデカくなっていったせいで、最新作では逆に低予算な部分が目に付く内容になってしまっているのは残念なところですね。

 なんかいつの間にか、トールマンが地球を侵略しようとしている事になっており、シルバースフィアがジャイアントロボの『大怪球』みたいなサイズになって、光線兵器で街を破壊してたり、トールマンのバラまいた謎のウィルスで世界が破滅しかかって世紀末みたいな状態になってて、もはや『トールマンVS人類の世界大戦』みたいになってるって設定は面白いと思うのですが、壮大な設定の割にはCGや映像がショボくてちょっと物足りなさを感じます。

 また、流石に1作目が40年近く前の作品ですので、『現実と悪夢が交錯する手法』も『スタイリッシュな殺人球シルバースフィア』も、今となってはちょっと古臭い印象を受けてしまうのは辛いところです。

 だからといって本作が完全にツマんないかと言うとそういう訳でもなく、良く出来ている部分もそこそこある印象。

 特に全体的に『非常にユーザーフレンドリーな作り』なのは好感が持てる部分で、流石に40年近く続いているお話だけあって今までのシリーズのお話とかうろ覚えの部分も多いのですが、本作の中で『過去のエピソード』やら『設定』やらを一通りおさらいしながらお話を進めてくれるため、『ああ、そんな話だったなあ』と非常に分かりやすくすんなりと物語に入る事が出来ます。
 (といっても、1~4を観ずに本作だけ見たら訳が分からない可能性が高いですが、流石にシリーズの完結編だけをいきなり観る人はあまり居ないでしょうしね…)

 また完結編だけあって、今までのシリーズでは不明瞭だったトールマンや怪物の正体やら動機的なものもシッカリと語られており、観終わった後にスッキリとした気分になれるためシリーズを続けて観てきた人にはまあまあ満足のいく内容になっているのではないでしょうか?

 ラストのオチとかも、完結してるんだかしてないんだか微妙な気分になる部分もあるものの、割と上手い落とし方ではあると思いますので『まあまあ及第点かなぁ』という印象。
 (1~2作目の頃に比べてテイストやノリが変わり過ぎだろ…って話もありますが、3辺りから既にその傾向はありましたしね。)

 気になった部分としては、序盤の主人公の『荒野をさまよってるシーン』が無駄に長い事かなぁ?
 こんな壮大な話にするなら、終盤のアクションシーンとか派手なシーンをもっと増量してスケールのデカさを描いて欲しかったものですが、まあその辺は予算の都合もあるので致し方ないところでしょうか…


 総評としましては、色々と物足りなさや不満点もあるものの『まあまあ観れるレベルのシリーズ完結編』という感じの作品です。

 今までの1~4作目までを観てきた人であれば、敢えて本作を観ないという選択肢を取る理由も無いと思いますし、とりあえず観ておいて損は無い作品だと思います。
 逆にシリーズを観てない人には、何が何やら分からない作品だと思いますので気になるなら古典的な名作として1作目からチェックしてみましょう。

 トールマン役のアンガス・スクリム氏が本作を撮った後に亡くなられたそうで、ホントに無事にシリーズ完結できて良かった作品だと思いますよ。
 同時に氏の冥福をここにお祈りします。