■■■「ジュラシック・ユニバース」■■■
(45点/アクション)
近未来、死刑の執行はエンターテインメント化し、VRゲーム世界に死刑囚同士を参加させて競い合わせるという「ジュラシックゲーム」というTVショーが開催されていた。
ゲームの内容は、10人の死刑囚たちが恐竜の跋扈(ばっこ)する4つのステージの突破を目指すというもので、ゲーム内での死は現実世界での死を意味し、最後まで生き残り一番最初にゴールにたどり着いた1人だけが、罪を免除されて解放されるというルール。
妻殺しの冤罪で死刑を宣告されてゲームに参加する事となったタッカーは、生き延びて子供たちと再会するために、なんとかして恐竜たちの襲撃から逃れてゴールまでたどり着こうとするが…
近未来の世界で、10人の死刑囚たちが恐竜の跋扈するVR世界で命がけのデスゲームに参加するという、SF風味のサスペンスアクション映画。
『死刑囚同士をデスゲームで戦わせる』という基本的なアイデアは割とありがちな感じながらも、『VR世界で恐竜と戦わせる』という辺りとかは、なかなか個性を出そうという努力を感じさせる作りにはなっている作品ですね。
ただ個性を出そうと頑張っている部分は認めるものの、全体的にアイデアに技術とか予算とかが追いついてない印象を受ける、なんとも残念な感じの作品というのも正直な感想と言ったところ。
お話としては『死刑がエンターテインメントと化した近未来で、「10人の死刑囚が恐竜世界で戦う」という命がけのVRゲームに参加する事となった冤罪で死刑を宣告された一人の男が、なんとかして生き延びて釈放されようとする』という感じのストーリー。
コテコテな感じの設定ながらも、10人の死刑囚たちが割とシッカリとキャラ付けされており『ひと癖ある死刑囚たちの駆け引きを描いたデスゲームもの』としては、そこそこ面白く描かれているのは良い感じですね。
また、『死刑をエンターテインメント化した世界』という設定ででディストピア感を出そうと頑張っており、スタッフや司会がデスゲームに『ショーを盛り上げるための演出やサクラ』を仕込んでいたり、『死刑囚フィギア』とかのCMが入ったりするバカっぽい設定も悪くないです。
ただ頑張っているのは認めるのですが、全体的にセンスがイマイチでどうにもインパクトに欠ける感じなのは困りもの。
死刑囚たちは『生き残るために恐竜たちのいる4つのステージをクリアする』という設定なのですが、この4つのステージが迷路とか地雷原とかって趣向なのですが、迷路が『地方イベント企画としてやっつけで作られた迷路』みたいなレベルだったり、地雷原はそもそも『ビジュアル的に面白いものでも無かったり』といった具合に、どのゲームも面白味や緊張感が無くて観ていて非常にツマんないんですよね。
メインであるはずの『恐竜』の出番もCGを作る予算の問題からか控え目で、ちょこちょことしか出てこないためにいま一つ盛り上がりに欠けますし、恐竜のCGも最近の映画にしてはちょっとショボ目。
正直いって、ゲームをやってるシーンよりも死刑囚たちが争っているシーンの方が面白かったので、VRの設定は無くして普通にデスゲームものにした方が良かったんじゃないかという気がします。
イマイチな内容ながらも終盤はそこそこ盛り上がる流れにはなるものの、ラストの『ジュラシックゲーム反対派の反乱』みたいな展開はちょっと蛇足でテンポを悪くしているだけな印象も受けましたし、どうにも中途半端な印象を受ける部分の多い映画でしたよ…
総評としましては、なんとも物足りない感じの『イマイチ感のただようSFアクション映画』って感じの作品ですね。
予算の事情もあるのかもしれませんが、せっかくの『VR世界で恐竜と戦う』という面白い設定が活かしきれていない感があったので、もうちょっとその設定をシッカリと活かす事ができればもっと面白い作品になったんじゃないかと思うんですけどねぇ…。
そこまで壊滅的にツマんない訳でも無いので気になるのならば観てみるのを止める事はしませんが、正直、あわてて観るほどの内容でも無いので、ネット配信とかで手軽に観れる機会があればチェックしてみるって程度でも良いような作品ではないかと…