■■■「ゾンビ【米国公開版】」■■■
(80点/ゾンビ映画)
ある日を境に原因不明の理由で次々と死者たちが生き返り人間たちを襲いだした為、人間社会が完全に崩壊しきった世界。
TV局へ勤めるスティーブンたちは、混乱しきった街から逃れるべくヘリでビルから脱出し、安全な場所を求めて飛行するうちに手付かずの巨大ショッピングモールを発見する。
彼らはゾンビ軍団から逃れ、食料や物資の豊富なショッピングモールの上階に立てこもる事で事態の終息を待とうとするが…
そんな訳で、先週から引き続き『ゴア映画祭り』として、今週はロメロ監督作品から行って見たいと思います。
(つっても、この映画を『ゴア映画』に含めてしまって良いのかは、若干疑問が残りますが…)
ホラーファンには今更なんの解説の必要も無いであろう、一連のゾンビ映画ブームの火付け役となった、ゾンビ映画の金字塔とも言える傑作ホラー。
ジョージ・A・ロメロ監督の『死者シリーズ』の3部作とされる…
「NIGHT OF THE LIVING DEAD」(邦題:「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」)
「ZOMBIE:DAWN OF THE DEAD」(邦題:「ゾンビ」)
「DAY OF THE DEAD」(邦題:「死霊のえじき」)
の2作目に当たる作品です。
つっても今度、20年ぶりに作られた4作目に当たる「ランド・オブ・ザ・デッド」が公開されるので、3部作という言い方は正しく無くなってしまいましたが…
>http://www.lotd-movie.jp/top.html
最近、リメイク版の「ドーン・オブ・ザ・デッド」も公開されたので、そちらは観てるという人も多いかもしれませんね。
わざわざ、最初に【米国公開版】と銘打ってあるのは、ビデオ発売やリバイバル等含めてバージョンが何種類か存在するためで、私が最初に見たのは【日本公開版】だったために、全体的に若干尺が短かったりスプラッタなシーンにフィルタがかかってたりと、結構違う印象を受けます。
一般的なゴア作品は今観ると笑えるような稚拙な物が多いのですが、いや、この映画に関しては今観てもメチャクチャ怖いですわ…
「ナイト・オブ・~」から引き継がれるドキュメンタリータッチの演出手法や、閉鎖環境における緊張感。
ショッピングモールに流れる妙に間の抜けたBGMと、押し寄せてくるゾンビの大群という対比がインパクト抜群で、我々が知っている『日常』が完全に崩壊した世界をイメージさせ恐怖を煽ります。
個性的なキャラの描き方や、ショッピングモールの上階に立てこもってから、再度脱出する事となるまでのストーリーの流れの描き方や、社会に対する強烈な風刺や批判の仕方も上手いです。
若干、中盤の尺が長すぎて中だるみする感も拭えませんが、改めて観ると劇中での経過時間を表す為に必要な措置だったのかなあと思います。
流石に古い映画なので、ゾンビの特撮なんかどうみても単なる『白塗りした顔色が悪すぎる人たち』にしか見えなかったりとチープさを感じずには居れないですし、内蔵引きずり出しとかの残虐描写も稚拙で、作り物ってのがモロに分かるようなレベルです。
それでも今観ても物凄く怖いと感じてしまうのは、やっぱロメロ監督の演出力のたまものといった所でしょう。
っていうか、この映画をどうリメイクしたら「ドーン・オブ・ザ・デッド」みたいなクズ映画に仕上がるのか、さっぱり理解出来ません。
「ドーン・オブ・ザ・デッド」とか観て、『なんかイマイチだな』と感じた人は、迷わずにコチラを観ておく事をお薦めします。
20年以上前に作られた「ゾンビ」の方が、「ドーン・~」の100倍ぐらい面白くて怖いですから…
総評としましては、とまあ今更何を語る事も無いですね…
やっぱ、紛う事なきゾンビ映画の最高傑作と呼ぶに相応しい作品です。
閉鎖環境ホラーのお手本とも言えるような要素が詰め込まれた映画ですので、ホラーファンならずとも万人に観ておいて欲しい一本ですね。
残虐表現とかは流石にキツいですが、それをガマンしてでも観る価値はあると思います。
勿論、ゾンビ好きならば何を置いても、飯を抜いて屍肉をかじる事になっても観ておかないとならない作品ですとも!!
「ランド・オブ・ザ・デッド」が公開されるまえに、是非!!