NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ネクロポリス」(65点/生物パニック:結構オススメ)

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■■■「ネクロポリス」■■■
(65点/生物パニック:結構オススメ)

 ダブロックとシュトゥッフらは、市長を勤める友人であるヴェルナーの結婚式のパーティに向かう為にドイツの片田舎の街を訪れる。
 そこで結婚式の前夜に、街で白骨化した女性の遺体が発見され、現場ではネズミの門歯が発見される。

 彼らは原因を究明するために、害獣駆除の研究を行っている生物学者のマティの元を訪れるが、そこでマティがネズミを駆除するために行った遺伝子操作の実験の影響で凶暴化したネズミの群れが、街の中に異常発生しているという事実を発見する。

 彼らはネズミ達を撲滅し、街の人を救おうと立ち上がるが…


 遺伝子操作の影響で異常に凶暴化したネズミの大群の恐怖を描いた、生物パニックホラー映画

 ドイツのTV映画用に作られた作品で、原題は「Ratten2 - Sie kommen wieder!」

 タイトルに『2』と付いているのを見れば分かるように、実はこの映画には前作があって、日本でも「ファングス」(原題:「Ratten - Sie werden Dich kriegen」)というタイトルでビデオ化されています。

 確かに、本編の中でも『3年前の事件』とかって前作との繋がりを臭わせるようなセリフが何度か出てくるのですが、まあストーリー的な繋がりは殆ど無いので余り意識する必要も無いかと…
 (っていうか、私は原題を調べるまで前作を観た事を忘れてました。)

 でも、ネクロポリスなんてタイトルとパッケージを見る限り、あまり生物パニック映画って感じがしない上に、いまいちパッとしない印象を受けるのですが…何を思ってこんな分かり難い邦題を付けたのでしょうか?

 とまあ、タイトルに関するツッコミはこの辺までにして、映画の方はというと…
 聞いた事の無いようなタイトルだし、前作もあまり印象に残るような映画でもなかったので、正味の話、どうだろう?と思って観たのですが…なかなかどうして意外に良く出来た生物パニック映画です。

 生物パニック映画のキモとも言える、『ネズミが何故凶暴化して人間を襲うようになったか?』を突き止める為の謎解きプロセスも面白いですし、その謎解きを用いた解決プロセスへの流れも、非常にスムーズ。

 要所要所に盛り上がるシーンもキチんと準備されていて、ラストはお約束の『大爆発』という、もうB級パニック映画のお手本的な構成です。

 映像の見せ方も特筆すべき程では無いながらも全体的になかなか凝った絵作りがなされており、焼却場のシーン緊張感のある展開や、田舎町の閑散とした廃墟を思わせる雰囲気や、教会のシーンの退廃的な雰囲気が印象的。
 まあ、TV映画って事で残酷描写なんかは殆ど無いですし、特撮はあんまりお金がかかって無さそうな印象を受けますが、その辺はストーリー展開上で上手く誤魔化してる感じであまり気にもなりません。

 また、登場人物のキャラクターがなかなか良い味を出しており、マッチョな大男の職業軍人と背の低く気の強いお姉ちゃんのキャラの掛け合いが、やたらと可愛くて思わず応援したくなる事ウケアイです。

 不満点を挙げるなら、ネズミによる被害者は何名か出るものの、大規模な襲撃シーンがあまり描かれておらず、ちょっとパニック感が薄い所かな?

 あと、主人公たちがネズミと戦う動機が『仲間の仇討ち』に限定されてしまっている所が、どうにもこぢんまりとした印象を与える原因となっている気がするので、もっと『逃げ惑う街の人々』みたいなのを描いたパニックシーンが1カットでもあった方が、ストーリー的にもイメージ的にも盛り上がったかも?

 総評としましては、無名ながらも非常に良く出来たB級パニック映画のお手本的な佳作のホラー作品です。

 この手のB級映画が好きならば、ごく普通に鑑賞しておいて損は無いタイトルだと思います。

 まあTV映画なので過剰な期待をすると、ちょっと肩透かしを食らうかもしれませんが、あまり構えずに観る分には結構楽しめる作品でしょう。
 秋の夜長にでも、ネズミの大群とかが見たくなったなら、是非…。