■■■「ブラッド・リッパー」■■■
(10点/スラッシャーホラー:地雷)
クリスティらは、久々に集まった大学時代の中間達と一緒に川辺のキャンプ場へと川遊びに訪れるが、訪れたキャンプ場で会った森林警備隊のレンジャーから、彼らの訪れたキャンプ場には、閏年ごとの満月の夜にジュベル・フィッシュマンと言う伝説の殺人鬼が現れて、キャンパー達を次々に殺すといった伝説があるという事を知らされる。
最初は、そんなのは単なる噂だと一笑に付して、キャンプを楽しんでいた彼らだったが…
見たまんまな感じのパッケージと、どっかで聞いたような設定からも分かるように、かなりありきたりな感じのスラッシャーホラー映画。
元々は、向こうのケーブルTV向けのTV映画っぽいんだけど、自主制作映画かと思うような粗い画像に、主人公たちも全く垢抜けない感じの俳優が揃っている事もあって、15年ぐらい前の粗製濫造時代のスラッシャーホラーがDVDで再発売でもされたのか?と思いきや、実際には2002年とかの作品らしいので逆の意味で驚きです。
実は、タイムマシンにでも乗って時代を遡って撮ってきましたか?ってぐらいのイキオイなんですけど…
キャンプ場の殺人鬼って事から、ストーリーは「13日の金曜日」風で、殺人鬼はガスマスクみたいなのを付けてて「血のバレンタイン」風、森の中をひたすら逃げるシーンは「悪魔のいけにえ」風と、やりたい事は分からなくも無いんだけど、技術も演出も全く追いついてなくて恐ろしいほどに怖くないという、もう、感想を書いてる自分でも何言ってるのか分からなくなるようなぐらいの空回りっぷりが涙を誘います。
しかし、キャンプに来た通りすがりのオッサンは、何故かアコースティックギターをかき鳴らして『殺人鬼ジュベル・フィッシュマンの歌』とかを披露してくれるという、『80年代ホラーでもそのノリはヤバいだろ!!』って感じの禁じ手のようなバカネタでいきなり笑わせてくれるのは、個人的にはちょっとポイント高かったです。(笑)
ストーリーに関しては、何かもうショボいとかツマんないとか、そんなレベルを超越したツッコミどころが満載。
一応、中盤まではサスペンス風のノリで話が進み、殺人鬼の正体は何者なのか?とかって感じの事を臭わせるような展開になっていくのですが…
ラストで最後に生き残った若者の一人が、殺人鬼の首をなんとかショベルで切り落として事件解決。
殺人鬼の正体は何者だったのか、果たしてそのマスクの下の素顔は!?と思いきや…
若者は殺人鬼のマスクを外さずにトボトボと帰ってしまい、結局その正体は謎のまま…
って、序盤のサスペンス風の展開は一体何やっちゅうねん!!
また、ストーリーの中盤で、殺人鬼が唐突にレンジャーに銃で撃たれて倒れるんだけど『あっさり殺されたのか?』と思いきや、次のシーンでは、全く別の場所で何も無かったかのように普通に画面に登場。
一瞬、『実は犯人が2人居た?』とか思って観てたら、それ以降に何の説明も無し。
もしかして、殺人鬼の不死性を描きたかったのかもしれないですが、唐突過ぎる上に何のフォローも無しで全く意味不明です。
もしかして、この映画の脚本を書いた人は途中まで書いた所でオチを考えるのが嫌になりましたか?
もしくは激しい健忘症で、自分がどんなシナリオを書いたかを途中で忘れましたか?
その他にも、やたらとモタモタ歩いてやる気の無さそうな殺人鬼とか、可愛いヒロインは速攻で殺されて、どうでもいいオバサンだけが後まで生き残るというファンサービスを全く考えてない理不尽な展開とか、とにかくツッコミどころが満載。
というか、むしろツッコまなくて良い部分を探すのが大変なぐらいのイキオイです。
ツッコミ体質の人が観ると、あまりの内容に発作を起こして死にそうになるかもしれません。
総評としましては、B級を通り越してD級ホラーぐらいの、色んな意味でとにかくお粗末な映画。
普通はツッコミどころ満載の映画というと多少は笑えるものなのですが、この映画の場合、あまりにいいかげんな展開に笑うとか怒るとかを通り越して唖然とする事ウケアイ。
『ハァ?何じゃそりゃ?』といった感じの、空いた口が塞がらない・オブ・ジ・イヤーとでも言うようなノリの理不尽さに、ツッコむ気力さえも激しく奪われるでしょう。
映画を観て空いた口が塞がらなくなるような気分に浸りたければ、ネタ映画として観ておいても良いのではないでしょうか?
ツッコミ体質の友達と一緒に観たら、きっと3日はネタに困りませんよ。