■■■「トレマーズ 砂の王国」■■■
(30点/モンスター)
人間を襲う謎の巨大な『砂虫』の出現によって文明が崩壊し、地表の全てが砂に覆われた未来世界。
砂漠から訪れる砂虫から逃れるため、生き残った人類は高い壁に囲まれた都市の中で怪物の襲撃に怯えながら暮らしていた。
そんな矢先に、人類の数少ない拠点である『中都』が砂虫の襲撃によって崩壊。
偶然にも、人類の唯一安全に暮らせるとウワサされる『オアシス』の座標と通行証を手に入れたトレジャー・ハンターのマー・ボーは、町の支配者のギャングや生物学者のリウ・ドン、生き残ったわずかな住人達と共に『オアシス』を目指して旅に出る事となるが…
文明が崩壊し全てが砂に覆われた未来世界で、生き残った人類が『砂虫』の脅威に怯えながら安住の地を求めて旅をする…という、サバイバル系のモンスターパニック映画。
最近、矢鱈と量産されている中国製のモンスター映画の一本で、「トレマーズ」なんてタイトルに付いていますが当然ながら本家との関係は全くなし。
というか、登場する怪物の『砂虫』もあまり『グラヴォイズ』とは似ていないので、「トレマーズ」ってタイトルを付けること自体に無理がありすぎだろ…という感じの作品です。
お話としては、『謎の生物の襲撃によって文明が崩壊した未来世界で、数少ない生き残った人類が安住の地を目指して旅をする』という感じの展開で、『よくあるゾンビ映画の設定を砂虫に置き換えただけのお話』と言った方がなんとなく分かりやすいかも?
プロット自体は割とありがちな感じなのですが、肝心のお話に関してはなんというか物凄くグテグテ感の強い内容なのが困りもの。
世界観やらプロットやらキャラの関係性やらが矢鱈と独特なクセに、作品の序盤でその辺に関する説明が一切ないため、観ていても世界観やキャラクターが良く理解出来ずに物凄く混乱してしまいます。
ぶっちゃけ、お話の中盤辺りまで世界観とか設定とかに頭が付いていけなくて、ずっと頭に『?』が浮かんだ状態でしたよ…
これなら、素直に『ゾンビウイルスで文明が崩壊した世界』とかにしておいた方が、お話が理解しやすくて良かったのでは?
本作の独自設定である『砂虫』も、作品の中核になっている割には出番があまり多くなくて、殆どのシーンは50~60cmぐらいの『巨大なウジ虫』みたいなのがチョコチョコ出てくる程度なうえに、パッケージの『巨大砂虫』はラストにチョロっと登場する程度で、ビジュアル的な見せ場が少なすぎ…
殆どのシーンは、生存者たちが仲間同士でギスギスしながら砂漠を旅していくシーンを延々と見せられるだけでテンポもあまり良くなく、『安住の地を求めて旅をする』と言ってもロードムービー的な要素がある訳でも無くて、とにかく退屈です。
また、キャラの掘り下げもメチャクチャ弱くて外見的にもあまり特徴が無いせいで、序盤は『鶴瓶っぽい見た目のギャングのボス』以外の人物の見分けが付いていなかったのは自分だけ?
終盤で、ちょっとした『ドンデン返し』的な展開もあるのですが、そもそも世界観やキャラにイマイチ馴染めない状態で見せられても『だから何なんだよ?』としか言いようが無いような内容で、正直、ひたすら地味でグデグデな気分を味わわされるだけの映画という印象でしたよ…
総評としましては、どうにも『見せ場やら盛り上がりに欠ける低予算系サバイバル風味モンスターホラー映画』という感じの作品ですね。
「トレマーズ」というタイトルに釣られて観ると、あまりにも「トレマーズ」的な要素が無くてガッカリすること請け合いですし、どういう層に勧めたら良いのか釈然としません。
よほど『中国製のモンスター映画を全部チェックしておきたい』みたいな情熱に駆られている人でも無ければ、普通にスルーしてしまっても問題のない一本だと思いますよ。