NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ザ・シング」(55点/モンスターホラー)

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■■■「ザ・シング」■■■
(モンスターホラー/55点)

 アメリカ北部の森林地帯の奥深くで、新たに発見された古代の壁画が残された洞窟を調査中だった学生のグループが、何者かによって全員惨殺される。

 その事件から2ヵ月後、森林警備隊員のダニーは友人を友人を交通事故で死なせてしまったトラウマから、森林の奥の監視塔で一人でアルコールに依存して現実逃避をしながら暮らして居た。

 しかしそんなある日、彼女の担当エリアで行方不明となったハイカー2人を捜索する事となった彼女だったが、深夜に彼女の監視塔は謎の生物に襲撃を受け、無線や車が破壊された上に、行方不明だったハイカー達も死体で発見される。

 偶然に監視塔を訪れていた同僚のジャスティンと一緒に、森林の奥深くで完全に孤立してしまった彼女は、なんとかして助けを呼ぼうとするが…


 「THE THING」と言うと、ホラーファンならば間違いなく「遊星からの物体X」の原題を連想するところだと思いますが、もちろんソレとは何の関係も無い女性型モンスターの登場するB級ホラー映画です。
 ちなみに原題は「IT WAITS」で、内容的にも『物体X』とは1mmたりとも共通点も無いので、何故にこんな邦題が付いたのかは不明です。

 内容的には『太古の時代から蘇った怪物が人間を襲う』…といった感じのお話で、雰囲気やモンスターのデザインやらから女性型モンスター版ジーパーズ・クリーパーズ」という印象が一番近いかもしれません。

 舞台設定が深い森の中という事から「クライモリ」なんかを連想する部分もあって、設定だけ見るとなんとなく、いろんな設定の寄せ集め映画っぽい印象を受ける…というか、ぶっちゃけ実際にそうなんですが、だからと言って内容がツマんないか?と言うとそうでもなく、なかなかどうして映画そのものは寄せ集めの割に意外と良く出来ていたりします。

 ヒロインが過去にあった事件から心に深い傷を負っていて、それ故にモンスターに付け狙われるという設定は結構面白く、主人公のキャラクターも上手く掘り下げる事に成功していると言えるでしょう。

 また、このモンスターが『主人公を精神的に追い詰める為だけに、ひたすら陰湿に襲撃を繰り返す』って設定は、モンスターの個性も含めてなかなか良い味を出しており、モンスターが主人公をあっさり殺せるようなシーンでも敢えて殺さない事に説得力があって、なかなか上手い見せ方だと思いました。

 ただ、お話そのものの設定は面白いものの、とにかく全編を通して登場する人物が物凄く少なくて、その人達がまたアッサリとサクサク殺されてしまう為に、主人公以外のキャラクターの存在感が希薄で盛り上がるシーンも意外と少なくて、ストーリーが少々メリハリに欠けるのが残念な所。
 あと、ラストもイマイチ盛り上がりに欠けるのがちょっと難点かな?

 登場人物がこの3倍ぐらい居て、せめてメインのキャラだけでも主人公との関係がもう少し丁寧に描かれてて、モンスターの暴れるシーンももうちょっと沢山あればなぁ…

 また、モンスターの個性は面白いのですが、外見的なデザインは少々ありきたりで、イマイチ面白味に欠けるのが残念な所でしょう。

 総評としましては、本編も小気味良くまとまっており全編に渡ってそれなりに見所はあるものの、『もうあと一歩!!』と感じる部分が多い、非常に惜しい作品だと言う気がしました。

 まあしかし、ホラーが好きな人ならば十分に普通に楽しめるレベルの作品だと思うので、モンスターホラーが好きな人ならば間違いなく見ておいて損は無いレベルのオススメ映画だとは思いますよ。

 あと少し、どこか突き抜けた部分があれば結構いい線いった作品だと思うのですがねぇ…