NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

「デッドライジング」の表現規制にともなう海外ゲーム移植の不安

 先日、こちらでも取り上げた過激なホラーゲームであるデッドライジングですが、何でも日本版には残虐表現に規制が入り、『体の部分的損壊(頭や手足の切断)』という表現の規制されたバージョンが発売されるのでは?
 …といった憶測が話題を呼んでいます。

 個人的に『やりすぎ馬鹿ホラー』をモチーフとしたこのゲームで残虐表現が規制されるってのは残念ですが、まあゾンビの首が切り落とせなくなったとしても、ゲーム性に大きな影響が無いならばそれはメーカーの判断って事で仕方ないのかな…とも思います。

 でも、このゲームの残虐表現ってソレこそ『B級ホラー的』で相当ウサン臭いので、そんなに神経を尖らせて規制をかける程のもんじゃ無いとは思いますが…


 ただ個人的に杞憂を抱いているのは、期待していたデッドライジング」に規制がかけられるのが嫌だとかって問題ではなく、この規制が審査機関である「CERO」の新レーティングによる「Z区分」(18歳未満購入禁止)の基準に基づいて行われたという事。


 今回の「CERO」の新レーティングは、今年の8月頃から導入され始めた新規定で、『青少年の健全な精神の発展を考慮して云々~~』といった感じの理由で設定されているのですが、問題は『Z区分』(18歳未満購入禁止)という強力な区分を用意しておきながら、その区分にまで過剰なまでの規制がかけられているという事で…

 他のメディア(映画等)では同様の表現があってもR-15程度の扱いなのに、ゲームのみ『Z区分』ですら『人体の損壊の表現が禁止』というのはどう考えてもやり過ぎ以外の何者でもありません。
 っていうか、そこまで過剰な規制をかけるんだったら、最初から『Z区分』なんて成人向けのレーティング区分を設ける意味が無いので、一番上の区分を『15歳未満購入禁止』ぐらいに設定しておけば良いのですよ…
 いい大人に年齢承認までさせておいて、更に表現規制に付き合わせるのはバカげてます。


 しかし、今回はデッドライジングには過剰な規制がかけられながらも、『日本でもキチンと発売される事になった』という点で特に問題は無い訳ですが、気になっているのはこんな規制をかけてしまったら『海外からの移植タイトルは殆ど発売出来なくなってしまうんじゃない?』という事です。

 『人体の損壊』程度の過激な表現って、海外のリアル系のアクションゲームやらでは割と当たり前の表現で、特にモンスターの登場するようなファンタジーアクションゲームやホラーゲームでは定番と言っても良いレベル。

 って言うかハッキリ言ってしまうと、海外の人気ゲームってスポーツゲーム以外は殆どそんなジャンルなので、この表現が規制されて『Z区分』を持ってしても日本の市場で発売出来ないとなるとハッキリ言って困りもの。

 今回のように日本のメーカーが開発してる場合は『表現に規制を加える』って事で対応出来ますが…
 海外メーカー開発のソフトでは、ただでさえ縮小傾向にある日本市場での発売の為にメーカーがメインプログラム(酷い場合はゲームシステムそのもの)に手を加えるなんて労を取ってくれる訳も無く、今後そういった表現のあるアクションゲームは『日本では一切発売されない』…という事態にも発展しかねません。

 つか、「ゴッド・オブ・ウォー2」とかギアーズ・オブ・ウォーとか期待してる作品が日本でマトモに発売されるんだろうか?と思うと正直言って不安な限りだし…これで「Destroy All Humans!」とか絶対に発売されなくなったんだろうなぁ…と思うと寂しい限り。

 もし、海外メーカーが日本発売も見越してこの手のゲームの開発を行っていたとしたら、このアホな規制に対応するために開発費が高騰したり、最悪の場合は開発中止をせねばならない訳で、そうなると『CEROが訴えられる』という事態にも発展しかねませんよ…

 っていうか、いっそ訴えられれば良いのに…


 こんな規制がまかり通ってしまったら、ただでさえゲームの内容が煮詰まってきて市場がシュリンクしつつある日本のゲーム市場なのに、海外メーカーからますます相手にされなくなって、ローカルでしかウケないような時代に逆行した閉鎖的な市場へとなってしまうのは必至。

 いや別にそれでも、今の日本のゲームがすべからく面白けりゃ良いんですが、実際の話、海外ゲームの方が個性的で面白いタイトルが多いってのが現状ですからね…

 こんな規制を、ユーザへの何の相談も無く「CERO」なんて良く分からない民間の団体が勝手に決定しているとしたら、青少年の心の健康は守れても、ゲーム業界そのものは非常に不健全な状態になって、業界そのもの発展に影響を与えるような事態になりかねないでしょう。


 まあ、今回のデッドライジングは、CEROZ区分対象となる初期タイトルという事で、単に過剰に気を使われているだけだろう…とも思うので、1年後ぐらいにはCEROの新規定、そんなのあったっけ?』と笑って済ませられるようになってる事に期待します。


 そもそもこういった過剰な規制をかけると『より過激な物が地下に潜って発生する』だけでロクな結果を招いた事が無いですし、ネットで世界中のメディアに簡単にアクセス出来るようになった現代では、ホントに手に入れたい人は海外からソフトなりを個人で手に入れれば済むだけですし…

 昔から『頭の悪い大人』の連中は、青少年の犯罪や凶悪な事件をメディアのせいにしたがりますが、そもそもそういった事件は『キチンと子供を教育出来ない大人の責任』であって、自分の不甲斐なさの言い訳をするためにメディアを叩いたり規制したりするのは、いいかげんヤメて欲しいものですよ。