■■■「ハンティング/ラリー・コーエン」<マスターズ・オブ・ホラー>■■■
(60点/スラッシャーホラー)
山間の定期ルートを走る高速バスが、サスペンションの故障で人里から数十キロも離れた山中で立ち往生してしまう。
同乗していた数名の乗客と運転手達は、ヒッチハイクを行ったり、徒歩で移動を開始したり、バスの中で救助を待つ事にしたり…といった具合に、各々に行動を開始。
しかし彼らは知らなかったが、彼らの遭難したその森には恐るべき殺人鬼達が潜伏し彼らの『狩り』の獲物となる人間が訪れるのを待ち構えていたのだ…
世界的に有名なホラー監督が競演する「マスターズ・オブ・ホラー」シリーズのラリー・コーエン監督による、シリアルキラー物のスラッシャーホラー。
ラリー・コーエンと言うと、代表作の「悪魔の赤ちゃん」シリーズが有名(?)ですが…
「悪魔の赤ちゃん」というと、ついつい「ローズ・マリーの赤ちゃん」とかと混同してしまいがちで『オカルトホラーだっけ?』とか思ってしまいそうですが、「悪魔の赤ちゃん」は『解熱剤だか何だかの影響で畸形化した赤ちゃんが怪物となって人間を襲う』という、かなりイロモノのモンスターホラーですのでお間違えの無きよう。
他にも「空の大怪獣Q」とか「アンビュランス」の監督でもあるようですね。
つか、俺この人の映画は結構観てるな…
本作は『山中で遭難した旅行者たちが殺人鬼に襲われる』という、設定だけを聞くとなんともありがちな感じのお話なんですが、『出会う相手、出会う相手がいちいち殺人鬼』というバカバカしい展開やら、『殺人鬼同士が獲物を巡って相手をお互いに出し抜こうとする』という、他には無いオリジナリティのある先の読めない展開がなかなか楽しませてくれます。
殺人鬼同士の獲物争いなんて「フレディVSジェイソン」のような有名殺人鬼じゃないんだから、ともすれば一発ネタ企画になってしまいそうなもんですし、実際これを120分の長尺でやられたら微妙な気がしますが、逆に「マスターズ・オブ・ホラー」という短編の企画だからこそ相応しいアイデアだとも言える訳で、コレはなかなか上手いネタのチョイスだと言えるでしょう。
2人の殺人鬼の個性付けもなかなかにブラックユーモアが効いてて面白く、同監督の作品のセルフパロディ的なラストのオチも含めてホラーファンならニヤリとさせてくれる部分が多く、『お祭り企画』というのを上手く活用してるなぁ…と感心する事しきりでしたよ。
総評としましては、作品そのものはありがちなスラッシャームービーながらも、一発ネタものとしてのネタの面白さで押し切っているという、いかにもお祭り企画に相応しいような作品です。
まあ、普通にスラッシャームービーとして観ても、なかなか及第点を付けれるだけのレベルではあると思うので、その手のノリが好きならば観ておいても損は無いでしょう。
なるほど、こういうネタもありなんだな…と言う意味も含め、色んな意味でなかなかに楽しめた作品でした。