NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「魔女の棲む館/スチュアート・ゴードン」<マスターズ・オブ・ホラー>(50点/オカルト(クトゥルー神話))

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■■■「魔女の棲む館/スチュアート・ゴードン」<マスターズ・オブ・ホラー>■■■
(50点/オカルト(クトゥルー神話))

 ミスカトニック大学で非ユークリッド学を学ぶウォルターは、学士論文を書く為に学校の近くに築100年以上経つような古ぼけたアパートを借りる事となる。
 しかし家賃が安い事で借りたそのアパートは、深夜になると階下から呪文のような囁きが聞こえてきたり、壁の向こうから壁を引っかくような奇妙な物音が聞こえてくるという不気味な場所であった。

 暮らし始めた翌日に、隣から女性の悲鳴を聞いた彼は隣室へと駆けつけるが、そこには壁から出没した巨大なネズミに怯える、隣室の住人である赤ちゃん連れの女性の姿があった。
 彼女の為に壁の修理を管理人に依頼しに行ったウォルターは、階下の部屋中に十字架を貼り付けた不気味な部屋で暮らす老人ジョーから『そのネズミは人間の顔をしていただろう?』と奇妙な事を問われる。
 彼によると、そのネズミはウォルターの部屋の『壁の向こう側』からやってくる『魔女』の使いで、『魔女』はやがて自分の目的の為にウォルターを操ろうとすると言うのだ。

 最初は老人の話を信じていなかったウォルターだったが、やがて眠っている彼の夢に本当に人面ネズミが姿を現し…


 世界的に有名なホラー監督が競演する「マスターズ・オブ・ホラー」シリーズのスチュアート・ゴードン監督による『クトゥルー神話』をモチーフとしたオカルトホラー。

 先述の「世界の終わり/ジョン・カーペンター同じ巻に収録されている作品です。

 スチュアート・ゴードンというと、個人的にはマッドな医者が死体を蘇生するイロ物ゾンビ映画であるZOMBIO/死霊のしたたりの監督という印象が強いのですが、他にもフロム・ビヨンドやら「DAGON」といったクトゥルー神話を題材としたホラーを沢山撮っているようで、本作もH・P・ラヴクラフト「魔女の家でみた夢」がベースとなった作品です。
 そういや「ZOMBIO」『主人公の医者がハーバート・ウエストだし、一応クトゥルー神話が元ネタだったっけ?』と妙に得心。

 ラヴクラフト原作の小説は映像化が難しい事で有名ですが、本作に関しても上手く映像化出来ているか?と言われると、正直言ってちょっと微妙。

 人面ネズミやら不気味な魔女やらのテイストは上手く出せているとは思うのですが、元々が「マスターズ・オブ・ホラー」TVシリーズという事もあって演出やら何やらに妙にチープな部分が多くて、『いかにもTV映画』という感じの安っぽいテイストは、原作の重々しい雰囲気にはちょっとそぐわないかも?

 と言っても、「ZOMBIO」なんかもクトゥルフ神話をベースとしてる割には割とコミカルな感じで描かれていたので、こういうブラックユーモアを交えつつ『敢えてチープな見せ方』をするのが、この監督の持ち味なのかな…
 でも、ユークリッド幾何学とかの説明に関しては、『原作を読んだ事の無い人には意味が良く分からないんじゃない?』という気もするので、やっぱその辺は微妙な所かも?
 (って言うか、『「壁の向こう」って異次元のことじゃ無いのかよ!?』とか思ったのは私だけ?)

 ただ、映像化が難しいクトゥルフ神話ものが題材となっている事から、ちょっと株を下げてる部分もありますが、それでもやはり『1時間もののホラードラマ』としてみると、なかなかの完成度なのは事実。

 序盤~中盤にかけての謎の提示の仕方もなかなか上手いですし、作品自体のテンポの良さに加えて盛り上げる所はしっかり盛り上げる作りで、流石に「マスターズ・オブ・ホラー」に選ばれるだけの作品ではあるなぁ…と思います。

 総評としましては、クトゥルフ神話という部分にこだわらなければ、それなりに良く出来たオカルトホラーだと思います。

 原作ファンの人がコレを受け入れられるかどうかは微妙ですが、「マスターズ・オブ・ホラー」の1本としては、コレも十分にアリなレベルの完成度ではないかと…

 って言うか、もしTVでコレが普通に放映されてたら手放しで誉めてると思うので、本作に限らずこれだけのレベルの作品が普通にTVシリーズとして観られるとは、やっぱ欧米はTV映画に関しては恵まれてるなぁ…と思いますよ。
 (まあ、向こうは殆どがケーブルTVだし、有料放送だから出来るって事もあるんでしょうけどね。)