NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ポセイドン」(60点/パニック)

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■■■「ポセイドン」■■■
(60点/パニック)

 大晦日の夜、超巨大客船ポセイドン号は洋上にて豪奢な年越しカウントダウンのセレモニーを行おうとしていた。
 しかし年越しを迎えたまさにその瞬間、ポセイドン号は突如発生した巨大な津波に遭遇し船腹を上にした状態に転覆してしまう。

 大惨事をなんとか生き延びた乗客達は、浸水がはじまり船が転覆する前になんとかして船から脱出するべく、上部にあたる船底部を目指して移動を開始するが、上下が逆になって移動が困難となった船内に加えて、浸水や火災と言った障害が脱出しようとした人々に次々と襲い掛かるのだった…。


 70年代に製作され、パニック映画ブームの走りとなった金字塔的作品であるポセイドン・アドベンチャー」のリメイク作品。

 オリジナル版は、パニック映画としての完成度に加えて、巨大なポセイドン号を再現したセットのスケール感、巨大な豪華客船が転覆しただけで『恐ろしく困難な障害コース』と化してしまう…というイデアの面白さが光る傑作でした。

 リメイク版である本作では、最新鋭のSFXを駆使してパニックシーンが描かれており流石にコレに関しては時代の進歩を感じさせます。
 特に転覆のシーンのスペクタクル映像は物凄い迫力で、コレを観るためだけにでも本作を観ておく価値はあるでしょう。

 また、観てる人間までもが思わず息を止めたくなるような浸水の緊張感や、思わず息苦しくなるような閉塞感、高所恐怖症の人間なら思わず正視出来なくなりそうな緊張感の演出は非常に見事。

 ただ、映像的には明らかに進化しているにも関わらず、どうも『転覆した豪華客船の見せ方』があまり上手くないのか…
 変な表現ですが…あんまり『逆さま感』が感じられないんですよね…

 特にオリジナル版であった『逆さまになった男子トイレ』とかのシーンは、『ああ、逆さまだなぁ』という感じで物凄くインパクトがあったのですが、そういう印象に残るシーンが少なくて、何か『単に災害で散らかった場所』を進んでるって感じのみで、その分の面白味が減ってる気がしました。

 また、人物や心理描写とかに関してはオリジナル版の方が上かな?と思う部分も多いですね。
 本作は、なんか人物の描写が希薄で印象に残らない感じです。

 まあコレに関しては、オリジナル版に比べると尺が20分近くも短くなったせいもあると思うので、人物描写を掘り下げるよりも作品のテンポを重視した結果という所でしょうか?

 あと個人的な意見を言わせて貰うと、本作での最大の不満点は『主人公が神父さんじゃない事』ですね。
 オリジナル版を観た人間ならピンと来ると思うのですが、主人公が異なるという事は『ラストシーンの展開』も異なります。

 まあ70年代と現代では人々の価値観も異なりますし、それを反映しての変更なのかもしれませんが、個人的にあのラストの展開はムチャクチャ好きだったので、ハッキリ言って何で変えてしまったのか全く持って解せませんよ。

 総評としましては、傑作とまでは行かないまでも単純な『パニック娯楽作品』として観る分には十分なクオリティを備えた作品だと思います。

 オリジナルを知ってる人間が観ると、やはりどうやってもオリジナルには劣る部分の方が多いと思いますが…まあ、それを納得した上で『現代の映像技術のスゴさ』や迫力を楽しむ分には、結構楽しめる一本と言えるでしょう。

 あと余談ですが、オリジナルのポセイドン・アドベンチャーには、後に続編のポセイドン・アドベンチャー2」という作品が作られているのですが…
 本作は、あの終わり方では「2」は作れそうに無いですね。

 いやまあ、そもそも「2」はかなり駄作だったので、全然作ってくれなくても問題ないんですけどね。(笑)