NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

ドラマ感想:「怪奇大作戦セカンドファイル」

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■■■「怪奇大作戦セカンドファイル」■■■

 先のGWに、怪奇大作戦の新シリーズに当たる「怪奇大作戦セカンドファイル」(全3話)がNHK-BS2にて放映されました。
 (既にBSデジタルでは4月に放映されてたのですが、私の視聴環境ではデジタル放送は受信できないので5月の地上波の放送まで待たされた感じです。)

 私は、子供の頃にこの怪奇大作戦を再放送で観て大ファンになり、後に再販されたDVDを全巻購入した程に好きな作品でしたので、今回は38年ぶりのリメイク(?)という事で期待して鑑賞させていただきました。
 そんな訳で、今日のレビューは映画じゃないですがコチラの感想なんかを…

 と言っても、殆どの人は『「怪奇大作戦」って何ぞや?』って感じだと思うので、まず怪奇大作戦」が何か?から説明致しますと…

■概要■
 科学の発展により近代化の進む日本社会。
 科学の進歩は人々に恩恵をもたらしたが、逆に最先端の科学技術を悪用した『科学犯罪』も横行し始めていた。
 政府は、この『科学犯罪』に対処する為に「特殊科学捜査研究所(SRI)」を設立。
 SRIの面々は卓越した科学力と鋭い洞察力を駆使し、次々と発生する『魔法としか思えないような複雑怪奇な科学犯罪』の謎を解き真相を暴くのだった。

 といった感じの設定で、1968年にTV放映された特撮ドラマシリーズです。

 設定だけ聞くと、何となくX-FILESとかを連想しますが、アレよりはもうちょっと『特撮番組』よりのテイストが強い作品ですね。

 ウルトラシリーズで有名な円谷プロによる作品で、「ウルトラシリーズ」と比べると比較的シリアスな構成やストーリーが重視され、どちらかというと高年齢層のファンを狙ったシリーズでした。
 ちなみに同時期に放映されていたウルトラ作品はウルトラセブンで、こちらも他のシリーズに比べるとブラックなネタやシリアスなネタが多かったので、当時の特撮業界の流行が何となく分かりますね。

 ちなみに今回の新シリーズは、昨年急逝した実相寺昭雄監督シリーズ構成を担当しており、実質的に実相寺監督の遺作となった作品でもあります。
 また、清水崇監督中田秀夫監督が各話の演出を担当している事もあって、特撮ファンやホラーファン的には要注目の作品と言えるでしょう。

 では、全3話の各エピソードの感想なんか…


■「ゼウスの銃爪」
 白昼の商店街、携帯電話で通話中の女性が謎の焼死を遂げる。
しかし不思議なことに、被害者の衣服や所持品はすべて焼け残っていた。
調査に乗り出したSRIをあざ笑うかのように、やがて起こる第2の殺人事件。
その背後には地球規模のトリックが潜んでいた・・・。
 <※以上、NHK「怪奇大作戦セカンドファイル」HPより抜粋>

 『人体自然発火現象を装ったハイテク犯罪に挑むSRIの面々』という設定で、旧シリーズを知ってる人ならピンと来ると思うのですが、旧シリーズの「恐怖の電話」の現代向けリメイク版とも言えるようなお話ですね。

 演出は呪怨シリーズで有名な清水崇監督が担当しています。

 『科学的ギミック』『ハイテク捜査によるトリックの検証』といった物語の構成や演出を含めて、最も怪奇大作戦」らしいお話になっていますね。

 旧シリーズではちょっと無理がある設定のお話でしたが、リメイクに当たって科学的な考証なんかも割とキチンと行われて、比較的リアリティのある設定になっているのは良い所でしょう。

 お話のテンポも非常に良くて、旧シリーズのファンとしては今回のシリーズの中で最も楽しめた作品でした。


■「昭和幻燈小路」
 東京下町で原因不明の電波障害が発生、住民157名が行方不明になる。
 事件を追うSRIの牧たちは、過去と現在が渾然一体となった不思議な空間に迷い込む。
 やがてSRIは過去のビジョンを視覚化する謎の波長をとらえ、発信源である古い写真館へ向かう・・・。
 <※以上、NHK「怪奇大作戦セカンドファイル」HPより抜粋>

 このお話は、科学犯罪捜査というよりは『現代ファンタジー的な内容のお話です。

 旧シリーズでも、こういうタイプのお話はごく稀にあったパターンではありますが、旧シリーズの頃からそれほど人気の無いジャンルでしたので正直言って少々微妙です。

 怪奇大作戦というシリーズを語る上での1ジャンルとして、新シリーズにも入れたのでしょうが、3話しかない構成で1話分割いてこの手の話を入れるのは少々勿体無い気が…
 どうせなら、今回のシリーズには入って来なかったもう一つのジャンルである『怪人もの』を入れて欲しかったかなぁ?

 演出の担当も他の2作品に比べると無名の監督が担当してる事もあって、特にツマんなくは無かったですが、全体的にちょっと物足りない感じの印象を受けるお話でしたね。


■「人食い樹」
 東京近郊の温泉に来ていたSRIのさおりは、連れ立って出かけた女友達の変死事件に巻き込まれる。
 その遺体からは赤血球が残らず消失し、血管は植物の根状に変異していた。
 SRIは、人間の体内に侵入し自己増殖する新種の殺人花粉の存在を突き止めるが・・・。
 <※以上、NHK「怪奇大作戦セカンドファイル」HPより抜粋>

 『殺人花粉』という題材の、科学犯罪捜査というよりは『パニックホラー』的な印象の強い1本です。

 演出は「リング」シリーズでお馴染みの中田秀夫監督が担当しています。

 中田監督の意向なのか、内容的に他の2作品と比べると非常にホラー色の強い作品で、被害者が死亡するシーンの演出とか結構マジに怖くて、子供が見たらトラウマになりそうなノリですね。

 新シリーズのトリを取る作品という事もあってか、他の作品よりもスケールが大きいお話になっているのですが、スケールを大きくする為か中盤の展開が速すぎて『ちょっと詰め込みすぎかな?』という感もあります。

 ただ、詰め込みすぎな割には最後までグタグタにならずに、お話をキレイにまとめ上げたオチのつけ方の上手さは見事。

 中盤の展開等に若干の物足りなさはありますが、オチの綺麗さでは今回のシリーズの中で一番好きな作品ですね。



 総評としましては、絶賛とまでは行かないまでもリメイク作品としては非常に水準が高く良くまとまった『普通に面白い作品』だと思います。

 全体的に旧シリーズへのオマージュ等が非常に上手く盛り込まれて、また作品としても破綻が無く、旧シリーズを知らなくても充分に楽しめるレベルに仕上がっているのは、流石は大物の監督を起用しただけの事はありますね。

 ただ、本編中で主要登場人物やキャラクターの説明が殆ど無い為、『旧シリーズを観た事が無い人が見たら、キャラがイマイチつかみきれないんじゃ?』とかって部分が少々気になりました。

 あと、旧シリーズを好きな人間から一言だけ言わせて貰うと、牧とノムはともかく三沢はキャラが変わり過ぎです…一瞬、誰かと思いましたよ。

 とまれ不満点も無くは無いものの、とりあえず旧シリーズのファンならば普通に観ておいて損は無いレベルの完成度だと思います。
 また、特撮・ホラーファン的にも注目度は高い作品だと思いますので、地上波で放映されるかDVD化されればチェキして置いても良い作品では無いでしょうか?

 個人的には、出来ればこのノリで1クール分ぐらい作ってくれんかなぁ…とも思いますが、スタッフも豪華だし流石に厳しいかなぁ?