■■■「ザ・カウントダウン 地球大戦争」■■■
(35点/SFパニック)
19世紀末、火星にて奇妙な噴射炎のような発光現象が観測される。
そのしばらく後に、ロンドン郊外にある農場へと謎の隕石が落下、隕石と思われたものは何かの人工物である事が判明、科学者達は次期からして火星から飛来したものでは無いかと推測する。
人類は火星人とコミュニケートを取ろうと試みるが、隕石の中から出現した火星人は戦闘機械によって有無を言わさずに地球の都市を破壊しはじめる。
地球人は軍隊によって侵略者への抵抗を試みるが、エイリアンのテクノロジーによる戦力の差は圧倒的で、地球は火星によって搾取されるがままに侵略されていくのだった…
『地球大戦争』なんてタイトルが付いているんで何の侵略ものSFかと思いきや、『地球大戦争』=「WAR OF THE WORLD」って、要は先日、スピルバーグによっても映画化された、H.G.ウェルズの「宇宙戦争」の映画化作品ですな。
スピルバーグの「宇宙戦争」は、設定が現代になったり舞台がアメリカになったりと現代向けに色々とアレンジされておりましたが、本作は色んな意味で割と原作に忠実な映像化がなされています。
現代を舞台としたスピルバーグ版は、『世界規模の侵略が主人公の主観視点で進む』事に妙に違和感がありましたが、19世紀末という原作の時代設定だと情報伝達の手段にも限界があるため、なるほど『主人公の主観視点で物語が描かれる』違和感が無くて納得ってのもです。
また、『火星人による一方的な侵略』ってのにも、当時のテクノロジーレベルだと十分に説得力がありますし、一方的な搾取に対する悲壮感も強いです。(舞台が現代のスピルバーグ版だと『軍隊も、もうちょっと頑張れるだろう?』とツッコミを入れたくなりましたからね。)
ストーリー的にもかなり原作に忠実な作りで、ぶっちゃけ『お話そのもの』はスピルバーグ版よりも、こちらの方が面白いです。
オチに関しても、当然ながら『原作どおりの唐突なオチ』ですが、原作のストーリーの流れの中からするとそこまでの違和感はありません。
…と、こう書くとスピルバーグ版よりも全然良い作品のように聞こえる訳ですが、内容うんぬん以前に映像やその他もろもろが『とにかく低予算でショボい』のが辛い所。
火星人の多脚戦車(トライポッド)とか、一応はCGで作られているんですが造型はともかく動きとかがメチャメチャ不自然で変ですし、街の大破壊とかのパニック映像なんかも、なんかショボいというか『適当』な感じ。
しかも、そのショボい特撮によるパニックシーンが、本編の半分ぐらいの尺を占めている為、ぶっちゃけ途中で思いっきり飽きます。
つか『パニックシーンの途中で2回も寝てしまった』のは、この映画ぐらいですよ…
あと、確かに原作では火星人の多脚戦車は『目に見えない破壊光線を発射する』って設定ですが、そんな部分まで忠実に再現する必要は無かったのでは…
ただでさえ低予算で絵的にショボいのが、更にショボくなっているのは如何なものかと?
また、レトロチックなイメージを狙ったのかもしれませんが、画面全体にフィルムが古びて見えるようなエフェクトがかけられていたりするんですが、何かエフェクトの処理にシーンごとに統一感が無くて、どうにも中途半端。
CGでテカテカのロボが登場したりするのに、別のシーンで『昼間の景色に青っぽいフィルタリングをかけただけ』で夜のシーンを表現したりするのは、流石に違和感ありまくりなので、もうちょっと統一性を持たせて欲しかった…
お話に関しても、原作を忠実に追うあまりか『本編が135分』という長尺になってしまっているため、途中でダレるシーンが多いのも困り者ですね。
ただ、本映画の『これ以上無いほどの凶悪そうな火星人の面構え』に関しては、本編の最大の見所ではないかと思いました。
そりゃ隕石の中から、こんな『会話が1ミリも通じ無さそうな相手』が出てきたら、誰だってパニック起こして逃げ出すわ…(ちなみに身長3mぐらいあります。)
>http://cat.oekakist.com/HQD00456/
総評としましては、内容はともかく『とにかく見ため的に辛い映画』ですね。
原作に忠実なだけあって話そのものは割と面白いと思うのですが、それが娯楽映画として優れているかは別問題という事で…
やっぱ、世界規模の侵略が描かれるパニック映画で低予算は辛いなぁ…というのが良く分かる作品でした。
ただ、スピルバーグ版の「宇宙戦争」を観て、ストーリーやオチが納得行かなかった人は、試しにコチラを観てみても良いかもしれません。
『ああ、元々はこういうノリの話だったんだ…』と、ちょっとだけ納得できると思いますよ。