■■■「ザ・ディフェンダー」■■■
(55点/アクション)
元ボクシングのヘビー級チャンピオンで、引退してからその商才を活かして大富豪となったバークレーは、今は街の再開発なども手がける名士となっていた。
しかしそんなある日、過去からバークレーと確執があり彼自身が法廷で証言した事で刑務所へと送り込んだといういきさつを持つ暗黒会の大物テレルが、仮釈放となり刑務所から出所してくる事となる。
テレルからの復讐による身の危険を感じたバークレーは、姉の提案により元軍人で要員警護のエキスパートであるフィリップという男を警備員として雇う事となるが、バークレーは知り合いの刑事から『フィリップが重度のPTSDで、過去に戦場で罪も無い子供を大量虐殺した』というウワサを聞かされる…
ジャン=クロード・ヴァン・ダム主演による、要人警護を題材としたアクション映画。
ジャン、ジャン、ジャジャン、ジャン=クロード!! という事で、ヴァンダム主演のアクション映画というと、木曜洋画劇場的なB級ノリの『お話の内容の無いド派手な格闘シーンばかりのバカ映画』って印象がありますが…
最近は流石にヴァン=ダムも結構良い歳のせいか、本作もあんまり『アクションばっかり』って事も無く、内容的には割と普通の映画です。
つってもまあ、一般的な映画と比べるとそこそこアクションシーンは有るのですが、昔の主演作品とかに比べると割と控え目。
少なくとも、ストーリーの半分ぐらいがアクションシーンとかって事はありません。
本作ではヴァン=ダムは、『元軍人で人付き合いが苦手で不器用な堅物』というキャラを演じた訳ですが、ヴァン=ダムって元々あまり演技が上手くないせいもあって、こういうセリフの少ない不器用な堅物キャラってのは逆にハマり役ですね。
以前に観た「レプリカント」という映画でも、『知能が未発達で喋るのが苦手なキャラ』を演じててハマり役だったので、こういった『純朴で不器用なキャラ』として起用するのは、なかなか良い判断なのかもしれません。
ヴァン=ダムのキャラ立てはさておき、肝心の映画の内容の方はというと何というか『割と普通のアクション映画』という印象。
主人公が要人警護しながら悪の黒幕と戦っていく…みたいなオーソドックスなストーリーをメインの流れとしつつ、不器用な性格のヴァン=ダムが護衛対象のもう1人の主人公と和解するというサブのストーリーが展開していくみたいな感じ。
警護対象の人物が『元ヘビー級ボクサー』という設定で、当然ながらヴァン=ダムとボクサーとの対決シーンも準備されてたりと、エンターテイメントとして楽しませようとしている姿勢は買えます。
ただ、内容的に『ホントに普通だなぁ…』という点が少々もの足りなさを感じるところ。
ストーリーそのものは割と面白くてお話のテンポも悪く無いんですが、そのぶんアクションシーンも控え目で全体的に映画としてのパンチが弱い印象。
アクションを地味にするならするで、ヴァン=ダムの堅物キャラをもうちょっとコミカルに描くなりして、この作品ならではの個性が欲しかった。
ヴァン=ダムが選出した警護チームも、選出のシーンに妙に尺を割いたわりには後のシーンでは空気のような存在になってしまっているのが勿体無い。
この辺のキャラを、もうちょっと上手く立てれば話がもっと面白くなったと思うのに…
あ、見所があまり無いと書きましたが、それでもクライマックスのラストバトルのシーンは結構燃えます。
ラップの音楽に乗せて格闘ってのも、なかなか悪く無いですね。
総評としましては、良くも悪くも普通のアクション映画という印象の作品ですね。
全体的にソツなくまとまっているので、アクション映画好きなら観ておいても後悔はしないレベルだとは思いますが、『コレだ!!』というオススメポイントも弱いって感じです。
とまれ、ヴァン=ダムのファンならばとりあえずは観ておいても損は無い一本だと思いますよ。