■■■その3『盗賊のアジト、または「門前の虎、後門の狼」』■■■
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野営中のならず者どもに正義の鉄槌を下した俺だったが、野営地の近くをぶら付いていると何やら地下遺跡への入口らしき物を発見した。
どうやらカタコンベ(地下霊廟)か何かの入口のようだ。
街へ行こうにも、牢屋から出てきたばかりで路銀も心もとない俺は、このカタコンベにモンスターなり財宝なりのメシの種でも転がって無いかと思い、寄り道がてらに中に入ってみる事にした。
ゴブリンでも巣くって無いかと期待して居たのだが、カタコンベの中でも外に居たのと同じような風貌の連中が何故だかウロウロしている。
しかもこいつらと来たらどういう訳か会う奴ら全員が、俺の顔を見る度に雄たけびを上げながら物凄い勢いで殴りかかってきやがる。
カタコンベの内部には、あちこちに家具や食器や食べ物が置かれており、妙な生活臭が漂っているし、コイツがどうにもカタギの連中とは思えない…
どうやら俺は、気付かないうちに盗賊団のアジトに侵入してしまったようだ…外に居た連中は、さしずめ下っ端の見張り役と言った所か?
まあこっちとしては、地下に巣くっているのがゴブリンどもだろうが盗賊団だろうが関係ない、世界と俺様の平和の為にも経験値と路銀の足しになって貰う事としよう。
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更なるお宝の予感を感じつつ隠し通路の奥へと侵入してみたところ、そこでヤケクソに頑丈なゾンビに遭遇。
しかし、幾ら硬くても所詮は『腐れ脳みそ』のアンデッドだ。
柱を中心にぐるぐると回りながら、チクチクとファイアーボールを打ち込むという知的な戦法で倒してやった。
まあ、倒すのに5分ぐらいかかったがな…
柱を中心にぐるぐると回りながら、チクチクとファイアーボールを打ち込むという知的な戦法で倒してやった。
まあ、倒すのに5分ぐらいかかったがな…
硬いゾンビを何とか撃破して更に奥に進もうとすると、今度は矢鱈と強いスケルトンに遭遇。
流石にこんな硬い連中をいちいち相手にしきれないので走ってやり過ごそうとするが、チョロチョロと逃げ回っていると、いつの間にやら矢鱈と固いゾンビやスケルトンに増援が2~3匹追加されてて、もはや手が付けれない状況になっていた。
頑張れば勝てなくは無い気がしたが、もし1匹づつチクチクと倒したとしても単純に15分かかる計算になり、幾らなんでもコレは分が悪いと感じた俺はカタコンベから撤退して出口を目指す事にするが、何故かどこまで逃げてもスケルトンが後を追って来やがる?
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仕方ないのでカタコンベの入口付近まで戻って来たところ、何やら先ほどの盗賊団の残党らしき一人の男が俺の前に立ちはだかった。
『盗賊ごときが俺様の脱出を邪魔するとは片腹痛いわ!!』と思いつつ、スケルトンに追われている俺としては話し合う余裕も無かったので、コイツにも引導を渡すべく斬りかかってみると、何やら今までの連中と雰囲気が違って妙に腕が立つ。
どうやらコイツは盗賊団の首領で、今までどこかに外出していて戻って来たところ、仲間が皆殺しにされていて怒り心頭といった状態らしい。
しかし、俺としても『オッソロしいスケルトンども』に追いかけられている手前、コイツの腕が立つからと言って地下へと撤退する訳にも行かず…まさに『門前の虎、後門の狼』とはこの事だ。
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『立体交差になった地下のエリアを逃げ回りながら体力を回復する』という戦法で何とか盗賊団の首領を討ち取った俺は、命からがら地上へと到着。
やたらと硬いスケルトンどもに復讐を誓いつつ、まずは暫しの休息を求めて街へと向かう事とするのだった…
(その4に続く…?)