NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ザ・サイン」(30点/サイコサスペンス)

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■■■「ザ・サイン」■■■
(30点/サイコサスペンス)

 検死カメラマンのジョーは、殺害現場で死体の写真を撮り続けるという仕事のストレスの疲れから、休暇を取って育ての親である叔母の実家へと帰省する事となる。

 帰省先で叔母がハウスキーパーとして雇っているローラという聾唖の障害を持つ女性と知り合った彼だったが、ローラとの散歩中に彼女が『何らかの異変』に気付き、周囲を調べてみたところ、何者かに惨殺された若い女性の死体を発見する。

 警察は彼女が何故、見えない場所にある死体の存在に気付いたのかと疑問を抱くが、やがて彼女は『自分には予知能力がある』という奇妙な告白をはじめるのだった…


 殺人現場を透視出来る能力を持つ女性と連続殺人犯とのやりとりを描いた、サイコサスペンス映画。

 「ザ・サイン」と言っても、別に変態的な趣味の監督の撮った超絶的センスの宇宙人の侵略映画とは何も関係ありません。
 殺人の現場が見えてしまうというのを「サイン」に喩えているのでしょうが、ヒロインの能力は「予知能力」と言うより、どっちかって言うと「透視能力」ですな。

 ちなみに原題は「AFTER IMAGE(残像)」なので、こっちの方がしっくり来るタイトルかな?

 本作は、何と言いますか…一言で言うと『なんだか良く分からない映画』ですな。

 とにかく全体的に説明不足な内容で、『連続殺人鬼が現れてヒロインがその殺害現場を透視出来てしまう』という設定は分かるのですが、その2つの事象に明確な関連性がある訳でもなく…
 『殺人鬼が勝手に連続殺人を行って、ヒロインは勝手にその現場を透視してる』って感じで、まず『超能力と殺人鬼との繋がり』がサッパリ分かりません。(別にヒロインが殺人鬼の捜査に積極的に協力する訳でも無いですし。)

 加えて主人公が死体カメラマンだという設定も、最後まで特に活かされるようなシーンは無いですし、知恵遅れの主人公の弟も本編に全く絡んでこない割には妙に出番が多いですし、キャラの配役もやや意味不明…

 特にラストシーンの展開はホントに訳が分からなくて、殺人鬼の動機も分からなければ『何でこうなっちゃったの?』ってのが全く理解出来ないうえに何の説明もないままに唐突にエンディングに突入して、もう何がナニやらサッパリって言う感じです。

 まあ、作品の全体的な印象からし雰囲気から汲み取れって事なんでしょうが、サスペンス映画でここまで投げっぱなしな話を描かれても正直困ってしまいます。
 流石にコレは読解力以前の問題です。

 不条理系のファンタジーとかカルト映画っぽい話を描きたかったのかもしれませんが、ソレにしてはそういう要素も薄くて、何か中途半端なんですよね…

 ただ、話の意味不明っぷりに対して映像のセンスやテイストとかは非常に良くて、フラッシュバックのように挿入されるヒロインの見る幻視のシーンの映像は、なかなか美しくて良い感じ。

 お話のテンポは遅めながらも、全体的な雰囲気は割と良い味を出していると思います。
 でも、お話がスローテンポすぎて途中で眠くなってしまうのは欠点ですが…


 総評としましては、何となく描かんとしている方向性は分からなく無いものの『面白いとか面白くないとか以前に意味不明の映画』という感じの作品です。

 なんと言うか、スッキリしない内容というか『そもそも、スッキリさせる気が無いだろう?』って感じの映画なので、少なくともオチでスッキリしないタイプのサスペンスが嫌いな人は観ない方が良いでしょう。

 カルト系の雰囲気重視の作品としても少々インパクトが弱いので、イマイチお薦めポイントが見出し難い作品ですねぇ…

 昔のフランス映画とかみたいな、スローテンポで雰囲気重視の作品が好きな人ならば、まあ『とりあえず観れるかな?』って感じの一本でした。