（６０点／心霊サスペンス）
双子の姉妹であるカタリーナは、ある日、姉のアガタが深夜のドライブ中に国道７号線の31km地点で車に轢かれて意識不明の重体に陥ってしまうという事故に遭遇する。
アガタが事故の直前に恋人のオマールに『子供を跳ねてしまった』という奇妙な電話を発信していた事を知った彼女は、事故現場で何か奇妙な現象が起こっているのではないかという疑いを抱き独自に調査を開始したところ、同じ『31km地点』で同様の女性ドライバーの死亡事故が多発しているという事実を発見。
やがて彼女は『31km地点』に隠された恐るべき真実へと近づいていく事となる…
謎の交通事故多発地帯に秘められた恐怖に迫っていくという、「マシニスト」の製作スタッフによる心霊サスペンス映画。
『メキシコ製の心霊映画』という聞き慣れない組み合わせという事で『どんな感じだろう』と思っていたのですが、なかなかどうして意外な掘り出し物でした。
ノリとしては、ストーリー的にはハリウッド風心霊ホラーって感じだけど、ノリ的に「Ｊホラー」っぽいテイストを取り入れていたりして、ハリウッド版「THE リング」とかに近いノリかな？
このＪホラーっぽさとハリウッドっぽさの塩梅が良くできており、画面の絵作りや心霊ホラー的な見せ方が上手くて雰囲気だけでも十分にホラーとして楽しめるレベル。
また、ハリウッド映画にありがちな『他の作品の２番煎じ』になっていない、完全なオリジナルのストーリーも先が読めなくてなかなか面白いですし、サスペンスとしてもなかなかに秀逸な作品と言えるでしょう。
ただ『怖がらせ方のツボ』が今ひとつシッカリと押さえられておらず、序盤の展開は結構怖いのに、中盤以降は「ん？」って感じのノリになってしまうのがちょっと勿体無いところ。
特に後半の展開が、妙にゴチャゴチャしてて少し煩雑すぎる気がしたので、もうちょっと簡潔にまとめても良かったかも？
（双子の母親のエピソードとか、フィーチャーとしては面白いけど必然性が全く無いですしね。）
オチも賛否ありそうですが、良い結末にせよ悪い結末にせよ、もうちょっとシッカリと落として欲しかったかな？
あと、心霊サスペンスとしては良く出来ているものの、幽霊キャラに「貞子」等のようなインパクトが無くて印象が薄いのは、ちょっと勿体無いところでした。
総評としましては、全体的に非常に雰囲気が良く『ごく普通に楽しめる佳作の心霊ホラー』といった感じの良作です。
最近多いリメイクや続編ものではなく、『オリジナル系の心霊ホラーの新作』を観て見たいという方になら割とオススメ出来る作品だと思うので、とりあえず観ておいて損は無い作品と言えるでしょう。
とまれ、雰囲気も非常に良く心霊サスペンスとしての完成度もなかなか高いので、ホラー好きな方には普通にオススメ出来る一本ですよ。
