■■■「カンニバルシスターズ」■■■
(55点/サスペンス)
ハリウッドでアニメ映画の製作をうトムは、仕事がスランプに陥ってしまい、気分転換に友人と雪山へとリゾートへと出かける。
しかし、山中で仲間とはぐれた上にスノーモービルで事故を起こしてしまった彼は、近所の山小屋に済む老姉妹へと助けを求めるが…
彼女達こそは、山中で迷い山小屋へ訪れた客人を言葉どおりに『食い物』としてしまう、恐るべき
「人食い姉妹」(カンニバルシスターズ)だったのだ!!
B級マニア御用達メーカーである、アルバトロス・コア配給のサスペンス映画。
アルバトロス・コアの配給する作品って、この映画に限らずにドギツいタイトルや煽り文句が付いてるけど、内容の方は意外にも良質なB級ホラーってパターンが多いのですが、この映画もご多分に漏れずにそのパターンです。
(いや、タイトルどおりにツッコミどころ満載の『途方も無いZ級映画』も相当多いですが…)
カンニバルって言うのは、語感的に「ハンニバル」と響きが似てる事から映画タイトルとしては良く使われるようになりましたが、いわゆる『人肉食嗜好』の事。
(内容的にも「ハンニバル」と被る部分が多いですしね。)
予告編やらパッケージをみると、雪山の山小屋で『人食い姉妹』に捕らわれた主人公が味わう恐怖を描いた、「ミザリー」のような閉鎖環境型ホラーかと思いきや…
そういったノリはお話の序盤のみで、中盤以降は予想していないような意外な展開に…
…って言うかね、ぶっちゃけネタバレしちゃっても良いと思うので書いてしまいますが、この映画ってタイトルや予告に偽りアリな感じで、人肉食系のホラーと思わせておいて、その実はホラー映画ですらありません。
パッケージや予告に出てくるようなシーンは序盤の30分程度のみで、それ以降は全く別の話になっており、ノリ的には最初の「人食い姉妹」事件から派生する連作物のサスペンスドラマのようなお話になっています。
ただ、100分程度の枠の中に少々ネタを詰め込み過ぎた感もあります。
特に中盤部分のストーリーの展開が不明瞭で『何が描きたいのか分からない』部分もあり、どうにも中だるみする感があるのは辛い所かなぁ?
でも逆に、後半~終盤の展開には『おおっ、そう来たか!?』と素直に驚かされ、そこそこ楽しませていただきました。
ちなみにこの映画、ノリや構成的にTV映画っぽいテイストを感じるのですが、やっぱ向こうで放映されたTV映画なのかな?
総評としましては、連続物っぽい形式を取ってるせいもあって、サスペンス映画として観るとどうにも小ぶりな印象を受けますが、ストーリーの構成や意外性という点ではなかなか面白い映画だと思います。
ただ、それよりも何よりも、最大の問題は「カンニバルシスターズ」っていう大仰なタイトルや予告編に比べて、本編の内容が余りにも『普通のサスペンス映画』している事。
人肉食系のホラー映画を期待して借りたとしたら、肩透かしどころか『騙された!!』と憤慨してしまう人も居るかも?
そんな訳で、ソッチ系のホラーを求めている人は絶対に見ない方が良いですが、私のように『アルバトロス・コアだし、今回はどんなハズしっぷりを披露してくれるかな?』と期待して観る分には、そこそこ楽しめる作品だと言えるでしょう。
個人的には、まあまあ面白かったです。
あと余談ですが、中盤でそれっぽい伏線として登場した『人食い姉妹のお兄さん』は、最後までストーリーに絡んで来なかったのですが、実際には続編シリーズでも作られてたりするのでしょうか?
ラストに意味ありげなセリフを言ってましたが、良く意味が分からなかったし…