■■■「凶悪海域 シャーク・スウォーム」■■■
(20点/生物パニック)
カリフォルニア沿岸の小さな町であるフルムーン・ベイに、リゾートマンションの建設を計画する大企業家のラックス氏は、効率的に地上げを行う為に海に産業廃棄物を不法投棄し、漁獲高を減らして町の産業の中心にダメージを与える事を画策する。
地元の漁師であるダンは、異常な畸形の魚や海岸に打ち上げられたサメの死骸などから、海で何かの異常事態が発生しているのでは無いかと疑いを抱き、大学で海洋生物学の教師を勤める弟のフィリップと共に原因の調査を開始する。
やがて、産業廃棄物の影響でサメの群れが異常に凶暴化している事を知った彼らは、なんとかしてラックス氏の不正の証拠を暴きだそうとするが、その頃には凶暴化したサメの大群によって町に未曾有の危機が迫っていたのだった…
ダリル・ハンナ主演によるアメリカのTV映画向けに作られたと思われる、サスペンス風味の生物パニック映画。
どうやらケーブルTV向けに前・後編に渡って作られた作品のようで、何気なくカウンターをチェックしてみたら映画の本編が170分近くあって余りの長さにちょっとビビりました。
(どうやら、80分の前・後編のお話だったらしい。)
ジャンル的には一応、『生物パニック映画』と区分しておりますが、どちらかというと『悪徳企業と闘う漁師が主役のサスペンス映画』といった方が、内容的には正しい表現かも?(「バラクーダ」とかと似た感じかも?)
ぶっちゃけ、本編が170分もあるのに見せ場と呼べるパニックシーンは『150分以降にちょっとだけ』とか、生物パニック映画としては流石に有り得ないですよ…
お話の内容は、面白いとか面白くないとか言う以前にとにかく長すぎてダレます。
まあ、一応は要所々々でサメの襲撃シーンとかも描かれているのですが、襲撃シーン自体も大して盛り上がる物でも無く、また『80分の2話構成』という長尺の為にとにかく話の展開が遅くて、もうガマン出来ないトロさです。
サスペンス要素が重視だからといって、『ストーリーが凄く面白いのか?』というとソレ程でもなく、お話の構成もかなりいいかげん…
凶暴化したサメに食われたダイバーとか海水浴客とかが10人以上は行方不明になってるのに、警察は殆ど捜査もせずに主人公のみが『孤軍奮闘で謎を暴く』ってのは流石におかしいでしょう。
警察が買収されているという設定だとしても、そんなに行方不明者が出てたら、たとえ死体が発見されなくてもマスコミなり何なりが大騒ぎする筈ですし、遺族も黙って無いでしょうし…幾ら何でもプロットに無理があり過ぎるんじゃないかと?
まあ所詮は『B級ホラーの設定』なので、あまりマジメにツッコミを入れてもしょうがないんですが、サスペンス要素を強く描くならば、せめてその程度の設定ぐらいはキチンとしておこうよと…
無意味に170分も尺があるから、途中で人が襲われるシーンが無いと間が持たなかったのは分かるけど、途中で食われた人たちの設定や存在意義に『全く意味が無い』ってのはあんまりです。
まあそれでも、同じ内容で全体の尺が80分ぐらいならそんなに気にもならなかったのかもしれませんが、どう考えても『尺を無理矢理引き伸ばして長編にしました』っぽい内容なのが、どうにも困り者ですよ…
サメの襲撃シーンに関してはCGはそこそこ良く出来ているのですが、使いまわしが多めで、CGと人間との絡みが難しい事から被害者の一人芝居による『イメージ映像』的な襲撃シーンが多めという低予算映画にありがちなパターン。
パッケージにはサメの大群による襲撃シーンがウリのように書かれていますが、サメの群れによる襲撃シーンも特にそこまで観るほどの完成度でも無いかなぁ…
オチも尺が長い割にはやたらと唐突で、何か中途半端な印象(悪徳企業の社長とか結局どうなったんだ?)だし、ホントに誉めるべきところの無い映画だなぁ。
総評としましては、観れない程に『物凄くツマんない』って訳じゃ無いんですが、ぶっちゃけ、この内容で170分の長尺は拷問以外の何者でもありません。
内容の如何はさておき、少なくとも本作にそれほどの長大な時間を割いて観るような価値は全くありませんので、普通にスルーしちゃって良い作品でしょう。
私は、倍速再生で観ててすら途中でダルくなって、カウンターの残り時間を観るたびに『観るのを中断しようか?』と真剣に思う程でしたよ…
(まあ、ぶっちゃけると『真剣に中断を考えたくなるほど微妙な内容』だった訳ですが。)