NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「キューブ ■RED」(65点/サスペンス:結構オススメ)

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■■■「キューブ■RED」■■■
(65点/サスペンス:結構オススメ)

 「フェルマー」という謎の人物から『数列パズル』が書かれた手紙が、数学者たちに配達される。

 その手紙の『問題に正解する事が出来た4人』は、フェルマーから『史上最高の難問を準備した』とされるパーティに招待される事となった。

 パーティの開場である『人里離れた森の中にある倉庫の一室』に集まった彼らは、遅れてきたパーティのホストであるフェルマーと共に食事と歓談を楽しむが、フェルマーは急用が出来たので1時間程度で戻ると言い残して退席してしまう。

 彼の行動に不審な物を感じた招待客たちだったが、やがて彼らは自分たちが倉庫の一室に閉じ込められており、更にこの部屋には『フェルマーが部屋に残したPDAから送信されてくる「問題」を1分以内に解かなければ、徐々に4方の壁が迫ってきて圧殺されてしまう』という、恐るべき罠が仕掛けられている事に気づくのだった…


 正方形の部屋に閉じ込められて『問題を解かなければ殺される』という状況に陥った数学者たちの脱出劇を描いた、スペイン製のソリッドシチュエーションスリラー映画。

 なんか『数学がテーマのサスペンス』とか言うと物凄く難解そうな印象を受けますが、一応ゴールドバッハの予想」とか数学っぽいテーマは味付け程度に入ってるものの、内容的には割と『普通のシチュエーションスリラー映画』という感じですので、数学とかに詳しくなくても楽しむのに問題は無いと思われます。

 閉じ込められた部屋の中で『壁が四方から徐々に迫ってくる』という緊張感の中でお話が進んでいくので、当然ながら『舞台がずっと一緒』だし『途中で誰かが死ぬようなシチュエーション』も無さそうだしで『途中でダレるかも?』と心配していたのですが…

 蓋を開けてみれば、なかなかどうして『適度な緊張感』と『非常にテンポの良い展開』とを兼ね備えた小気味良いスリラー映画でした。

 『舞台がずっと一緒』という事で、お話の中身は当然ながら会話劇が中心になるのですが、謎の招待者である「フェルマー」の正体や、招待客たちの意外な秘密がストーリーのなかで上手く絡み合っており、劇中で物語が凄い勢いで二転三転して『ああ、あれってこういう伏線だったのか?』という仕込みが結構あったりして、これがなかなか面白い。

 また、要所要所でフェルマー」から出題される『問題』も良いアクセントになっていて、退屈させない為の良いアクセントになっております。

 ただこの『問題』に関しては、主人公達が「数学者」という設定なのに、出題される問題は「頭の体操」とか「平成教育委員会」レベルの問題で、数学的な要素が殆ど活かされて無いのは勿体無いかなぁ?

 まあ問題を余りに難しくしても、視聴者が『一緒に考える』という行為が出来なくなるので、そこは『誰が観ても楽しめる』という部分を大事にしたのでしょうが…

 個人的には、もっと『数学パズル』的な要素があった方が、映画の内容にも説得力が出て面白かったと思うので、もうちょっと『難解(だけど答えを聞くと「分かった気になる」)』なレベルの問題を出してくれた方が良かったかな?

 あと、お話の構成も凝ってますし、シチュエーションスリラーにしては『真犯人の動機』や『オチ』がシッカリと描かれていて、消化不良な感じが無いのは非常に良い点だと思いました。(その手の映画って、『そんな無茶な?』って感じのオチの作品が多いので…)


 総評としましては、『本作ならでは!』という程に光る部分は無いものの、全体的に『非常に良く作られた佳作のシチュエーションスリラー』って感じの映画だと思います。

 『数学』とかのテーマを全く無視しても『普通に楽しめるレベルの作品』だと思うので、シチュエーションスリラー映画が好きな人ならば観ておいて損は無い一本でしょう。

 ただ、逆に『数学的な要素』は意外と弱いので、『数学ネタ』が好きな人が観るとどうにも物足りなさを感じてしまう可能性が高いかなぁ?
 まあ、その手の方面が好きな人は『過剰な期待はしない方向でどうぞ』って感じでしょうか…