NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ダニエル 悪魔の赤ちゃん」(55点/モンスター)

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■■■「ダニエル 悪魔の赤ちゃん」■■■
(55点/モンスター)

 大学の在学中に出産する事となったレノアは、休学して建築家である夫のフランクと共に暮らすようになるが、胎児の成長が異常に早くて妊娠から6ヶ月という短期間で帝王切開により出産する事となる。

 レノアは赤ちゃんにダニエルと名付けて育てる事となるが、出産時に分娩室の医師と看護士が皆殺しにされるという異常な事件が発生した事や、赤ちゃんの成長が異常に早すぎる事、赤ちゃんが生まれてから身近で小動物が次々と殺されるという奇妙な事件が発生した事から、彼女は自分の子供が『普通の赤ちゃんでは無いのではないか』という事に気付くのだった…


 突然変異によってミュータント化した赤ちゃんが人々を襲うという、ミュータントもののモンスターホラー映画。

 パッケージや予告だけ見ると何となくオカルトホラーっぽい印象を受けますが、オリジナルは1974年にラリー・コーエン監督によって製作された「悪魔の赤ちゃん」という『ミュータント化した赤ちゃんが人間を襲う』というトンデモ映画のリメイク作品です。

 妊婦が妊娠中に飲んだ薬が原因で子供がミュータント化するという設定なのですが、当時は「サリドマイド」による奇形児の問題などが世間で取り上げられており、時事ネタを反映した旬なネタだった訳ですが、このネタをそのまま現代にリメイクしても『ちょっと唐突な印象』がありますねぇ…

 ラリー・コーエン監督って事で予想が付く方も多いと思いますが、オリジナル版はかなりのB級色全開でツッコミどころ満載なトンデモ系の馬鹿映画。

 だいたい『赤ちゃんがちょっと突然変異したからって、大の大人を何人も虐殺出来るのか?』という無茶な設定もあって、かなり『笑える内容』だったのですが、本作はソレを『いたってシリアスな雰囲気』でリメイクしてしまっている辺り、オリジナルとのギャップが凄くて『別の意味で笑えてしまった』のは、私だけですかね?

 オリジナルでは、この『ミュータント化した赤ちゃん』の外見がまた凄くて、「宇宙水爆戦」のメタルーナ・ミュータントのような『巨大な頭部&目玉とサメのような鋸歯』という物凄いインパクトの外見をしてるのですが、リメイク版ではこの外見が余り活かされて居なくて残念な所。
 (あの外見のままじゃ、どうやってもシリアスになりようが無いですが…気になる人は「悪魔の赤ちゃん」でイメージ検索してみるべし。)

 とまあオリジナルとの比較はさておき、リメイク版もシリアスなホラー映画としては、割と良く出来ていると思います。

 赤ちゃんの異常性を徐々に明かしていく序盤の展開の盛り上げ方や、自分の赤ちゃんが怪物だと気付いて、それを隠す為に心身を病んでいく母親の姿などの描き方はなかなか上手いですし、ラストの物悲しい感じのオチの付け方も良い感じだと思います。

 ただ、全体的に見て『盛り上がるシーン』がちょっと少なすぎるかな…と感じる部分と、やはりオリジナルを尊重する意味でも『赤ちゃんの怪物っぽいビジュアル』は、終盤ではもうちょっと前面に押し出しても良かったかも?

 あと、シリアスにやろうとしてるのに『オリジナル版のB級っぽい片鱗』があちこちに残っていて、『どうやってもお笑いになってしまう』シーンがあちこちに含まれたままになっているのはご愛嬌って所でしょう。


 総評としましては、若干の物足りなさやツッコミどころやは目に付くものの『それなりに良く出来たレベルのモンスターホラー映画』といった感じの作品ですね。

 『オリジナルと比較するとどうよ?』って感じではありますが、オリジナルとはかなりベクトルが違う作品なので、オリジナルを知ってれば『あの映画をこんな風にリメイクしたのかよ?』と言う感じで、別の意味で楽しめるかもしれません。

 ただ、シリアスといってもタイトルが似てるからってローズマリーの赤ちゃん」とかみたいな、サイコオカルト系みたいなのを想像してると、かなり方向性が違います。
 アクマでモンスターホラーという事は認識して鑑賞すると良いでしょう。

 まあ、良くも悪くも『ラリー・コーエン監督の映画のリメイク』ですからね…