■■■「アルマズ・プロジェクト」■■■
(60点/サスペンス)
1998年の11月、ロシアの宇宙ステーションの『アルマズ号』に宇宙ステーションの新たな担当者として担当者ロシア宇宙局のボリスが任命される。
ソユーズロケットで宇宙ステーションへと向かう彼と共に、将来的に『アルマズ号』を買い取る予定であるESA(欧州宇宙機関)から、派遣員としてリックとウェスリーの2名が、7日間の視察の為にアルマズに送られる事となった。
しかし、彼らが到着した翌日から宇宙ステーションは音信不通となり、その後、発見された宇宙ステーションのブラックボックスには、彼らの到着後の4日間に起こった恐るべき真実が隠されていたのだった…
1998年にロシアの宇宙ステーション『アルマズ号』で起こった恐るべき事件の真相を描いた、宇宙開発もののサスペンス映画。
『行方不明となったロシアの宇宙ステーション「アルマズ」の『ブラックボックス』から発見された映像』を再編集したものという名目となっており、簡単に言ってしまうなら『宇宙版「ブレアウィッチ・プロジェクト」』感じのお話ですね。
宇宙ステーションの滞在シーンや船外活動のシーンが非常に良く作られており、異常なぐらいにリアリティがあるので『実際の映像』と言われると、一瞬信じてしまうようなレベルです。
でも、もしこんな内容が真実なら、国家レベルどころか『人類存亡の危機』な訳ですが…
序盤の展開は非常にリアリティがある展開でいわゆる『宇宙開発ものサスペンス映画』かと思いきや、途中から予想外の方向へと話が進んで行くという、先の全く読めないストーリー展開はなかなか面白いです。
ただお話をふくらませると同時に、中盤ぐらいから妙に凝ったカメラワークとか画面演出が多用されるようになり、映像の迫力は出ているもののリアリティが感じられなくなってしまっているのが勿体無い。
ストーリー展開も芝居がかりすぎてて、とてもじゃないですが『現実のデータを元に再編集された映像』とは思えません。
『リアリティ』よりも『お話の面白さ』を取ったという事なのでしょうが、どうせなら最後まで徹底的にリアリティを感じさせるような映像の作りにこだわって『もしかしたらコレって現実にあった事なんじゃないの?』と思わせるような作りにしてた方が、話題性としては良かったかも?
また、虚構にしては終盤の展開がグテグテすぎて、非常にストーリーが分かりづらくなっており、オチを観るまでお話の全容が今ひとつ理解出来ないのは困りものかな?
オチで出てくるタイムリミットの『2012年12月』ってのも、いかにもマヤ文明の予言を意識してるっぽくて、逆にウソ臭いですしね…
リアリティを持たせるなら『リアリティ重視』で、虚構と割り切るならもうちょっと『演出重視』で、どちらかにこだわって作った方が面白くなったと思うのですが、どうにも『どっち付かずな印象』になってしまっているのが勿体無い感じかなぁ?
総評としましては、映画としてはなかなか良く出来ているのですが、ちょっと『方向性がハッキリしないで損をしちゃってる作品』って感じですかね?
リアルな雰囲気の『宇宙開発ものサスペンス』としては、なかなか面白い作品だと思うので、リアリティのあるSF作品が好きならば割と楽しめる作品だと思います。
「ブレアウィッチ」系の作品が好きで、かつSF系の作品が好きな人ならば、迷わずに観ておいて損の無い1本ではないでしょうか?