（５５点／オカルトモンスター）
映画のプロデューサーのキースは、かつて暴動によって収容者や看守らの大量虐殺が行われたせいで、現在は閉鎖されているという海上に浮かぶ監獄島の『イスラ・デル・ロカ』のドキュメンタリーを作成する事となる。
かつての看守からその事件の概要を聞き実際に島へと取材に訪れた彼らは、偶然にも警察に追われて監獄島に逃げ込んでいた武装強盗団と遭遇する。
彼らは強盗団から身を隠そうとするが、彼らが訪れた事によって監獄に眠り続けていた恐るべき悪霊の群れも目を覚まし、生きている人間達を次々と血祭りに上げていくのだった…
かつて大量殺戮が行われたという監獄島に訪れた人々が、悪霊の群れによって殺されていくというオカルト風味のモンスターホラー映画。
いわゆる幽霊屋敷的な『廃墟もの』のオカルトホラー映画で、この手のジャンルとして『病院』に次いでお約束の『刑務所跡』が舞台となった作品です。
幽霊屋敷と言ってもオカルト的な感じではなく、悪霊の群れが『呪い』とかって悠長な方法じゃなくて『実力行使』で人間をフルボッコにするという感じの内容で、どっちかというとモンスターホラーに近い感じでしょうか？
悪霊による人間の殺害の仕方が矢鱈と芸達者で、裁断機でバラバラに裁断したり、壁と鉄格子に挟んで押しつぶしたりと、グロい表現に妙にこだわって作られているのでビジュアル的にはなかなか楽しませてくれます。
また作品のテンポも非常に良くて、『登場人物が孤立した所で悪霊に襲われる』というシーンの繰り返しの展開はワンパターンなものの、冒頭からラストまで終始なんらかの見せ場があるので途中でダレたり退屈したりせずに観れるのも良い点でしょう。
ただ映像表現に関してはちょっとチープで、残虐シーンが多い割には緊張感も無くて、映像の雰囲気作りとかもあまり良くないため、単純に『勢い良く繰り返される過剰な残虐シーンを見て笑うだけの映画』になってしまってるのは惜しいところかな？
ストーリーも、ラストの展開とか唐突すぎて『なんじゃこりゃ？』な感じだし、もっと緊張感のあるシーンや盛り上がるシーンなりがあれば良かったんだけど、全体的に展開が単調すぎるのが難点かと…
総評としましては、派手な残虐描写でテンポと勢いだけはあるんですが『本当にそれだけの映画』って感じの作品です。
『90年代ぐらいのスプラッタホラー』とかでありがちだったノリの作品って感じで、内容の薄さが気になってしまう感じですねぇ。
せめてもっと監督の個性なりが発揮されてれば、なかなか面白い作品になったんじゃないかと思うのですが…
とりあえず何も考えずに『無駄に過剰な残虐シーンを見て笑って楽しみたい』という人にならば、そこそこオススメ出来る１本ではないかと思いますよ。
