NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「変態島」(55点/サスペンス)

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■■■「変態島」■■■
(55点/サスペンス)

 タイのプーケット島で、恵まれない子供達を支援するボランティアメンバーのパーティーに参加した建築家のポールとジャンヌの夫妻は、パーティ会場で上映されたミャンマー貧困層の集落の映像を見た際に、半年前に大津波で行方不明になった息子のジョシュアらしき子供の映像が写っているのを発見する。

 ありえないとは思いつつも息子の生存の可能性を捨てきれない彼らは、タクシン・ガオという怪しげな男の案内でビデオに写っていた場所であるバヤム島へと到着するが…


 「変態男」とか「変態村」に続く『変態シリーズ』の最新作にあたる、サイコサスペンス映画。

 というかシリーズって言っても、変な趣味や妄執に捕らわれた人物のお話を邦題で勝手に『変態シリーズ』と銘打ってるだけで実際にはシリーズでも何でもない訳ですが、本作は「変態村」のスタッフの手による新作という事で、一応はシリーズと呼べなくは無い作品かも?

 ただ何と言いますか、今回の作品は『別に変態でも何でもないやん?』って感じの内容です。

 ストーリーそのものはそこそこ面白くて、トラブル続きにより徐々に精神的に追い詰められていく夫婦の心理状態や、島の退廃的で異様な雰囲気『息子は生きている』という妄執に捕らわれた母親の姿とかはなかなか良く描かれており、ラスト辺りでの展開は心理的に非常に怖いものがあります。

 ただ「変態村」とか比べると、特に住民が変態行為を行っている訳でも無いですし、怪しげな雰囲気はあるものの、この内容で「変態島」と言い切ってしまうのは如何なものかと…

 まあ、本作での母親の『異常な執念』は確かに変態的な部分もあるので、そういう意味では『変態シリーズ』と呼べなくもないのかもしれませんが、むしろ「変態島」というよりも「変態母」とでも銘打った方が良いんじゃないかって感じでした。

 あと雰囲気重視の作りのために、お話のテンポが非常にゆっくりとしており、全体的にちょっと冗長な印象を受けたのは気になったかな?

 まあ、『そういうテイストの映画』だと言えばそれまでなのですが、パッケージに『5分に1回の変態』みたいな事が書かれていたのに全然そんなノリじゃなくて、普通に『まったりムードのサイコスリラー』みたいな感じだったので、ちょっとタイトルやパッケージに偽りアリな内容かも?


 総評としましては、異様な雰囲気のサイコスリラーという観点で見ると、まあ『そこそこ良く出来た作品』だと思います。

 ただし「変態村」のような『変態的なノリ』とかに期待していると、あまりのアッサリした内容にかなり肩透かしを食らわされるかも?

 退廃的で雰囲気重視のサイコスリラー系の映画が好きならば、そこそこ楽しめる作品だと思いますので、そういうノリが好きならば『とりあえず観ておいても損は無いかな?』とは思いますが、どうせ『追い詰められた狂気』を描くならイザベル・アジャーニーの「ポゼッション」ぐらい徹底して描いて欲しかったかなぁ?