NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「エアベンダー」(70点/アドベンチャー)

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■■■「エアベンダー」■■■
(70点/アドベンチャー

 気・水・土・火の4つの王国が支配する世界。

 各王国に存在する、気・水・土・火を操る能力を持つものは「ベンダー」と呼ばれ、その中でも4つのエレメントを操る能力を備えた唯一の存在が「アバター」と呼ばれていた。

 唯一無二の存在である「アバター」は、精霊と会話し精霊の導きによって世界の調和を保つ役目を担っていたが、今から100年前、「アバター」である気の国の少年のアンは重責に耐えられずに唐突に失踪。
 「アバター」を失った世界の均衡は崩れ、4つの国は戦争を始めてしまう。

 しかし100年後のある日、狩りをしていた水の国の兄妹サカとカタラは氷の中で眠る1人の少年を発見。
 彼が、100年前に行方不明となった最後の「アバター」のアンである事に気付く。

 眠りから目覚めたアンは、自分が眠っている間に気の国が火の国に滅ぼされたことを知り、世界に再び調和を取り戻すために運命に立ち向かう決意をするが…



 気・水・土・火の4つのエレメントの支配するファンタジー世界を舞台とした、M・ナイト・シャマラン監督による冒険ファンタジー映画。

 シャマラン監督と言えば、一筋縄では行かない独特のテイストのある変態的趣味の映画ばかり撮る監督として有名ですが、「レディ・イン・ザ・ウォーター」辺りから方向性を変えたのか、本作も『物凄く普通の冒険ファンタジー映画』になっております。

 ただ「レディ・イン・ザ~」の時は、普通の映画と言いつつも主人公が『何の取り得も無い中年のオッサンども』だったりとちょっと捻くれた設定だったのですが、本作は主人公達も美少年と美少女という感じの布陣で本当に毒の抜けたハリウッドメジャー系の大作映画になった感じですね。

 正直言って『え、シャマランの映画がこんな普通に面白くて良いの!?』とツッコミを入れたくなるぐらいの内容で、スタッフロールに名前を出されなければシャマランの映画だとは気付かないぐらい…

 「レディ・イン・ザ~」は、シャマラン監督が『自分の子供が観て楽しめるような作品』を目指して作ったそうなので、その方向を突き詰めた結果と言う事なのかもしれません。

 映画の内容の方は、何と言いますか『普通に面白いファンタジー映画』って感じの作品ですね。

 『気(風)・水・土・火の4つのエレメント』が支配する東洋風の世界観を持った世界で、『世界の制覇を狙う火の国と、その勢力に歯向かって戦う少年たち』って感じのお話で、その背景に権力争いの話が入ってきたりとか親子の確執の話が絡んできたりとか、なんともベタベタな展開。

 ただ世界観とかキャラクターの設定は非常に良く出来ており、特に原作も無しでこのストーリーを作ったのだとしたらなかなか大したもので、普通に先の展開が気になるようなお話ですね。

 ただ子供向けとまでは言いませんが、児童文学を意識した内容なのも間違いない感じで、シャマラン監督の変態的嗜好は全く見受けられない印象。

 また物語の展開が物凄く速くて、特に序盤~中盤は詰め込みすぎで矢鱈と説明的な印象を受けました。
 この辺は、長い時間じっと映画を見ていられない子供でも楽しめるように、ある程度は意識して尺が短く作られて居るのかも?

 ちなみに本作はこの作品だけでは完結しておらず、話の流れからすると3部作辺りを意識して作られてるっぽいので、方向性として大作を目指すんならもうちょっとじっくりと場面を描いて『2時間オーバーの尺があっても良かったんじゃ無いかなぁ…』という気もします。

 アクション等の見せ場もなかなか多く見所も沢山あるので、尺が短くて若干『アッサリしすぎ』な印象を受けること以外は、普通に良く出来た作品だと思いますよ。


 総評としましては、それほど特徴的やテイストやインパクトは無いものの、なかなか面白くて家族で楽しめるレベルの『良く出来た冒険ファンタジー映画』だと思います。

 ファンタジーアクション映画を普通に楽しみたい人なら、間違いなく観ておいても損はしないレベルの作品だと思いますが、ただシャマラン監督の『変態的な独自のテイスト』に期待している場合は、そういう要素は全くありませんので要注意です。

 あと、本作は1作では全く完結しておらず(区切りの良いところで終わっては居るので、尻切れトンボでは無いですが)、思いっきり『続編に続く!!』みたいな終わり方をしておりますので、その辺は考慮に入れておいた方が良いかも?

 個人的には、シャマラン監督の作品としては不満ですが、映画としては面白かったですので、続編も鑑賞したいと思いますよ。
 (まあ、また『変態的な映画』もたまには撮って欲しいとは思いますけどね…)