■■■「ドレッド[恐怖]」■■■
(65点/サスペンス:オススメ)
大学で倫理学の講義を受けるクウェイドとスティーブンの2人は、卒業課題のテーマとして『恐怖』という心理の根源を解明するために、『心にトラウマを持つ被験者にインタビューを行い調査データを集める』という研究を行う事となる
他人の恐怖心や恐怖体験を録画しデータとして集めて行く彼らだったが、自らも心に深いトラウマを持つクウェイドは、中途半端な他人の恐怖体験のインタビューを集めるだけでは満足できなくなり、やがて触れてはならない禁断の領域へと踏み込んで行ってしまうのだった…
『恐怖』の根源の探求に取り憑かれた2人の若者がたどる運命を描いた、サイコサスペンス映画。
先日、うちのブログでもレビューを書いたクライヴ・バーカー原作による「血の本」シリーズの第2弾に当たる作品だそうですが、ストーリー的には前作の「血の本」から別に繋がりがある訳ではないので、クライヴ・バーカーの短編をシリーズとして映像化するという企画という事でしょうか?
「血の本」がオカルト的な内容だったのに対して、こちらはもっとリアルな『サイコサスペンス』といった感じの設定のお話なのですが、ぶっちゃけ「血の本」よりも本作の方がクライヴ・バーカーっぽくて面白いお話に仕上がっていますね。
主人公たちが『恐怖』という心理の根源を探ろうとする序盤の展開は、興味深い内容ながらもちょっとスローテンポでなかなか事件も起こらずに『どういう風にお話が展開していくんだろう?』と思いきや、中盤以降の主人公たちの狂気の暴走っぷりはかなり壮絶でビビりました。
メインの4人のキャラクターのキャラの立て方も非常に上手くてドラマ部分も良く出来ていますし、オーソドックスな構成ながらも意外と先の読めないシナリオの展開もなかなかに良い感じ。
またクライヴ・バーカーらしく、人間の体を切り刻んだり生皮を剥がしたりすような『痛々しい表現』や『残虐な表現』もあったりして本作の見所となっているのですが、流石に『現実的な話』だけあって「ヘルレイザー」とかと比べるとエグさはマイルドな感じ。
ただ、それが逆にリアリティを与える事になって、本作の怖さを引き立たせている感じがしたので『この程度の表現』が妥当なところなのかも?
個人的に、色んな意味で観てて『胃が痛くなる』というか『お腹が痛くなる』ような作品でしたよ。
総評としましては、予想以上に良く出来た『佳作レベルのB級サイコサスペンス映画』といった感じのお話でした。
まあ基本的には『登場人物の少ない低予算ホラー映画』なので過剰な期待は禁物ですが、B級ホラーやサイコサスペンスが好きであれば楽しめる要素は十分にありますので、その手のジャンルに興味があれば観ておいて損は無いタイトルだと言えるでしょう。
普通に『掘出し物』レベルの作品だと思いますし、クライヴ・バーカーのファンであれば、前作の「血の本」よりもコチラの方が完成度が高い内容ですので、是非ともチェックしておくべき一本だと思いますよ。