■■■「襲撃者の夜 食人族 the Final」■■■
(40点/サスペンス)
アメリカとカナダの境界にあるメイン州のデッドリバーというリゾート地で、住民が唐突に行方不明になったり惨殺されたりするという事件が古くから継続的に発生していた。
2人の女性が殺害され赤ん坊が行方不明になるという事件を調査する警察は、11年前に起こった同じような事件から未だに『未開の状態にある原住民』が住民を襲撃しているのではないかと予想し捜索を開始する。
イラストレーターであるデイヴィットは、ある日の夜に庭先で奇妙な扮装をした半裸の女性を見かけ不気味なものを感じるが、その翌日に未開の蛮族としか思えない謎の集団の襲撃を受け…
アメリカ郊外に住むとある一家が正体不明の『食人族』の襲撃を受けるという、サスペンスホラー映画。
キワモノ的ホラーである「隣の家の少女」のジャック・ケッチャム原作・脚本による作品との事ですが、サディスティックなサイコサスペンスだった「隣の家の少女」と比べて『食人族』とか『どんなイロモノだよ…』って感じですが、一応キチンと原作の小説も発売されている作品のようです。
お話の内容はひと言で言ってしまうなら、いわゆる『ゴア系ホラー映画』ですね。
ストーリーも理屈も無く、唐突に『理不尽な暴力』に晒された主人公たちと食人族との戦いといった感じで、問答無用にバッタバッタと登場人物が殺されていき、バッタバッタと食人族も死んで行きます。
なんというか『理不尽な暴力』という点では、確かに「隣の家の少女」に通じる部分もあるのかな?
とりあえず『現代のアメリカで「食人族」とか無いわ…』と思う訳ですが、そういうツッコミをパワーと勢いだけで押し切ってしまっている構成はなかなか上手いんじゃないかと…
ただ全体的に説明不足な部分が多くて、作中で語られる『11年前の事件』とか食人族の出自とかが本作だけを観てもサッパリ分からないのですが…
なんでもこの作品は原作の方は「オフシーズン」という作品の続編に当たるものだそうで、だったら何故にそちらから先に映画化しなかったのかと…(もしかしたら映画化されてるのかもしれませんが、少なくとも自分は心当たりがありません。)
そんな訳で設定も良くわからないまま観た感想としましては、とりあえず『食人族強ぇー!!、警察弱ぇー!!』という感じの内容で、イキオイだけで描かれた暴力や残虐描写を延々と見せられるだけの作品って感じですねぇ。
まあ、有無を言わせぬような『テンポの良さ』はありますので、少なくとも途中で退屈するような作品ではないですし、終盤の何ともいえない後味の悪さとかも嫌いじゃ無いですので、内容が無いなりにはそれなりには楽しめました。
ただ映像が矢鱈と汚くて、画質が80年代の「食人族」のようなレベルなのはモンド映画的なノリを狙ってやってる事なのかなぁ…
その割に食人族の人たちは妙に小奇麗なツヤツヤの肌をしてたりするし、何か映像に関しては『もうちょっと頑張れよ』というツッコミしか入れられないレベルだったのは残念な部分でした。
総評としましては、あまり誉めれた出来では無い作品ですが、深いことを考えずに『イキオイに身を任せてサラっと残虐描写を楽しむ』には、そこそこ向いている作品だと思います。
「食人族」のようなモンド映画を期待しているとちょっとノリは異なる感じですが、『理不尽な暴力』や『ちょっと救いの無いお話』が好きな人であれば、それなりに楽しめる一本だと言えるでしょう。
少なくとも良作って程ではありませんが『その手の作品』が好きであれば『とりあえず観ておいても良いかな?』って程度の映画ではあるかもしれませんね。
映画を見終わった後で、個人的には原作の前作にあたる「オフシーズン」がどんな話なのか読んでみたくはなりましたので、今度機会があれば読んでみようかと思いますよ…