■■■「EATERS」■■■
(40点/モンスター)
人間をゾンビ化させる謎の伝染病の大流行により女性の殆どが死滅し、世界中の政府が崩壊し無秩序状態と化した世界。
人類の数少ない生き残りでハンターであるイーゴルとアレンは、医師のジャイノの『人類のゾンビ化の原因を探る実験』に協力するためにゾンビを捕獲しつつ、生き残った人類を探すという毎日を送っていた。
そんなある日、自分たち以外の人類の生き残りのものと思われる信号を受信しジャングルの奥で一人の少女と出会った彼らは、人類のゾンビ化にまつわる恐るべき秘密を知らされる事となるのだった…
『人類をゾンビ化してしまう謎の伝染病によって滅亡に瀕した世界』で2人のゾンビハンターの辿る運命を描いた、モンスターホラー映画。
『ガッカリ映画監督』という事で世に名前を轟かせているウーヴェ・ボルの製作による、イタリア製のゾンビ映画ですね。
監督はルカ・ボニという人のようで生憎ながらこちらの監督の名前は聞いた事が無いのですが、とりあえず本作もウーヴェ・ボルらしい『期待に違わぬガッカリっぷり』を見せてくれる作品です。(笑)
何がガッカリかって、とにかくお話が分かり難い。
冒頭でニュースのカット映像を連続で流して『謎のウィルスによって人類が死滅しかかっている』という事を説明してくれる(この際に『絶望の余りローマ法王が自殺した』というネタが出てきて、そこはちょっと笑ってしまった)ため最初だけは話が分かりやすいのですが、本編以降の話の組み立てがどうにも難解です。
本編の途中で本編とあまり関係の無さそうな回想シーンが始まって、それが『主人公と主人公の妻の過去』を描いているようなんですが、そのシーンに関して全く説明が無く『矢鱈と唐突に回想シーンが挿入される』ため、とにかく観ていて混乱します。
また現在の時間軸でも作品内の独自設定とか派閥が登場するのですが、そちらに関しても殆ど説明が無い。
しかも、そんな分かりづらい構成なのに主人公たちがやっている事は『ひたすらゾンビを殺し続けているだけ』という単純な展開なので、中盤あたりまでストーリーがチンプンカンプンで素で全く付いていけなくなりそうになりましたよ…
それに加えて『特撮シーン』とか『主人公以外のキャラクターの性格付け』とかが、矢鱈とグロくて悪趣味なのも辛いところ。
特撮のレベルとかはそこまで高くないのですが、『チープ故のエグさ』みたいなのが感じられて、個人的にグロいシーンとか苦手じゃない筈なのにちょっとキツいものがありました…(なんとなくチープさ故に『80~90年代的なホラー』のトラウマが刺激されるからだろうか?)
前述の『訳の分からない展開』と加えてダブルパンチといった感じで、とにかく観てて辛い(というか無駄に疲れる)ので、この時点でかなり観る人間をふるいにかける作品のような予感。(途中で脱落する人も多そう…)
ただ『下品なだけでまるっきりダメな作品』かというとそうでも無く、ストーリーの全容が解き明かされてからの『終盤の展開』は意外と面白かったりするのが困りもの。
生き残りの『少女』と出会ってからの展開はなかなか熱いですし、『それで良いのかよ?』とツッコミたくなりつつも未来への希望を繋げるようなオチも、個人的には割と好きな感じで良かったです。
これで序盤が『もうちょっとスッキリとした分かりやすい作り』になってたら、そこそこ良い作品になったんじゃないかという気もするんですけどねぇ…
総評としましては、見るべきところもあるのですが色んな意味で『アクが強すぎて他人にはちょっとオススメし辛い映画』って感じですかねぇ。
ただ低予算のゾンビ映画としては及第点な完成度ですし、その手の映画が好きな人であれば、とりあえず普通に観れる作品ではないかと…
欧州系ホラーの独特の下品さとかグロさとかが好きな人であれば、なかなか楽しめのではないかと思いますので、そういったノリが好きであれば割とオススメ出来る一本と言えるかもしれません。