■■■「レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー」■■■
(60点/スラッシャー)
アイスランドに旅行に来たハンナは、友人や他の外国人観光客らと一緒に地元の漁船でのホエールウォッチングのツアーに出かける事となる。
しかしツアーの事故で船長を失った彼らは、海の真っただ中に取り残される事となり困り果ててしまうが、そんな彼らの元に一隻の小型船が訪れる。
彼らは小型船によって無事に救助されたと一安心するも、実はその小型船に乗っていた『捕鯨反対運動によって職を失った地元の漁師たち』で、別の船に拉致された彼らはそこで恐るべき虐殺の恐怖に晒されるのだった…
ホエールウォッチングのツアーに参加した観光客たちが捕鯨禁止によって失職した猟師たちに虐殺されるという、欧州製のスラッシャーホラー映画。
設定からしてかなりアレな感じの作品ですが、欧州的でなんともブラックな設定&内容のスラッシャー映画です。
いわゆる『監禁もの』タイプのスラッシャー映画なのですが、殺人鬼が異常なまでに無計画(というか単なるキチ●イの集団)で、状況がコロコロと二転三転して最後まで先が読めない展開のため退屈せずに観れるのは良い感じです。
登場人物のキャラクター付けもなかなか面白くて、メインのキャラクターの性格が軒並み物凄く悪くて、酷い目に会うとむしろスッキリ出来るのはある意味楽しい作品ですね。
特に日本人のキャラクターが性格悪すぎ&狡猾すぎなのは、ちょっと苦笑させられました。
また、本編の中で環境団体の「グリーンピース」の批判が出てきたりと、日本はともかく捕鯨規制を推進してる欧州でこんな映画を撮って『大丈夫なのか?』と…(笑)
オチの主役っぽいヒロインの末路とかもなかなか捻りが利いてて良い感じですし、ネタバレになってしまいますが『捕鯨を推進している国』である日本人キャラが他者を犠牲にしてシレっと生き残ってしまったりするのも、皮肉が利いてて笑わせてくれます。
全体的になかなか観るべきところは多い作品なのですがちょっと不満点を挙げるとしたら、欧州製のホラーの割には残虐シーンとかは控えめで殺害のシーンとかにあまり見せ場が無いことかなぁ?
また、作品自体のテンポは良いんだけどスピード感とか緊張感はあまりなくて、ややメリハリに欠ける印象で盛り上がりに乏しいのは難点かも…
総評としましては、単純にスラッシャーホラーとしては凡作なんだけど『ブラックユーモアの利いた変り種のホラー映画』として観るならば、なかなかに面白い作品だと思います。
欧州テイストの『皮肉なネタ』とかが好きな人でホラー映画も好きであれば、割と楽しめる作品だと思いますので、そういうノリが好きならば観ておいて損は無い一本だと言えるでしょう。
逆にスッキリと楽しめるハリウッドタイプのホラーが好きな人は、『何じゃこりゃ?』となってしまうかもしれませんので、そういう『キッチリとしたオチのある映画』じゃ無いと嫌だって人は要注意ですね。