■■■「スピーシー・オブ・コブラ」■■■
(25点/モンスター)
古代インドの伝説に蛇の女王である『ナギン』の体内にあり、手に入れたものに不老不死をもたらすという『ナグマニ』という石の伝説があった。
太古より多くの者が、その石を手に入れるために女王の恋人である雄のコブラをオトリにして女王をおびき出そうとしたが、それらの人々はことごとく返り討ちにあったと伝えられていた。
末期の脳腫瘍に冒されて余命6ヶ月の宣告を受け狂気に囚われた科学者のステイツは、この伝説を頼りにインドの山奥を訪れ、首尾よく女王の恋人である雄のコブラの捕獲に成功し連れ帰る事に成功するが…
恋人をさらわれた『蛇の女王』が恋人を取り返すために人間に変身して復讐するという、モンスターホラー映画。
デヴィット・リンチの娘であるジェニファー・リンチ監督による、ちょっとエロチック風味のモンスターホラー映画なのですが…
前作の「サベイランス」は、ちょっと反則的な構成ながらも割と普通のサスペンス映画だったのに、本作の方は何故にこんなイロモノなのか?
ホントに『どうしてこうなった?』としか言いようが無いような映画です。
お話の内容は簡単に説明するならば現代版「蛇女の脅怖」とでも言うか、何ともチープ臭の漂う作品なのですが、狙ってやってるのか大真面目に作ってコレなのかが何とも判別しがたいような印象。
まあ、『映像が異様にチープな事や悪趣味な事』は監督の趣味の問題かもしれないのでさておくとしても、ストーリーがこれまた存外に酷い。
お話の流れとしては、『蛇の女王』の恋人を捕らえたマッドサイエンティストと、恋人を取り戻すために街に訪れた蛇の女王と、蛇の女王によって殺された被害者を調査する刑事という3人を中心にお話が展開するのですが…
蛇の女王は、所詮はヘビ程度の知能しかないせいか、ウダウダしながら街中で行きずりで出会った下衆な男を殺してまわるだけで、全くオスを助けに行こうとしない。
マッドサイエンティストは蛇の女王がいつまでたっても来ないから、ひとりで大荒れして暴れて使用人を殺してまわるというキ●ガイっぷり。
そして事件を捜査する刑事は、最後のギリギリまで大蛇の存在を信じずに調査をサッパリ行わない。
そんな状況でストーリーがマトモに進む訳もなく終始グテグテした展開で、どうにも話が盛り上がりません。
本編に関係のないネタとしては、蛇の女王が蛇使いの笛にあわせてダンスをするシーンがあったり、変身のシーンが矢鱈とエロチックだったりと見所もボチボチあるのですが、本編の流れがあまりにも支離滅裂すぎて訳が分からないというか、あまりにトンデモすぎて最早『笑えるレベル』に達してしまっているという…
というか、本作は何かオリジナルとなる作品があって、それをベースにしたリメイクか何かなんでしょうか?
お話の中で、映画館でソレっぽい映画が流れてるシーンがありましたし、現代的なセンスとは思えないような部分があるんですが…
逆に、完全にジェニファー・リンチ監督の趣味でこの作品を作ったんだとしたら、あまりのブッ飛んだセンスに逆の意味でちょっと尊敬しますよ。(笑)
総評としましては、こんなもん見せられても『一体どうして欲しいのか?』と逆にツッコミを入れたくなるほどに、『どうしようもない作品』という感じの一本ですな。
ぶっちゃけ物凄い『キワモノ映画』なので、ネタとして観る分には良いと思うので観たいというなら止める事はしませんが、最初からそういう覚悟をした上で鑑賞する事をオススメしますよ。
非常に下らない映画ですので、あなたの人生にプラスになる事は無いと思いますが、とりあえず『ネタ』と『ツッコミ要素』は十分に提供してくれる作品だとは言えますので…