NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー」(60点/オカルト)

■■■「TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー」■■■
(60点/オカルト)


 自殺によって母を亡くし、そのショックから未だに立ち直れずにいる女子高生のミアは、気晴らしに親友のジェイドに誘われた友人たちのパーティに参加し、その場所で仲間内で話題になっている降霊術のアイテムを用いた『90秒憑依チャレンジ』という降霊実験に参加する事となる。


 それは『霊能者の手』という謎の呪物を用いて『90秒間だけ死者の霊を自分に憑依させる』事ができるが、『90秒を越えると霊に肉体を支配されてしまう』という危険なものだった。


 そのスリルに病みつきになった彼女は、友人たちと共に幾度となく降霊実験を繰り返すが、ジェイドの弟のライリーがチャレンジを行った際にミアの母親の霊が出現。


 動揺した彼女は、霊を切り離す90秒のタイムリミットを超過させてしまい…

 


 『90秒間だけ死者の霊を自分に憑依させる』というオカルトの遊びにハマった少女が、呼び出された霊によって恐るべき体験をする事となる…という、オカルトサスペンス映画。


 設定からして、てっきり『コックリさん的な遊びにハマった若者たちが、呼び出した霊のせいで酷い目に合わされる』的なライトなノリの青春系オカルトホラーかと思いきや、予想以上にドロドロとしたサイコ胸糞系のオカルト映画という感じの作品でした。


 メインのプロット的には先述のとおり『あやしげな呪物で霊を呼び出す遊びをしていた若者たちが、呼び出した霊によって酷い目にあわされる』という展開なのですが、まあとにかく主人公の周辺の人間関係が矢鱈とドロドロなんですよ。


 お話のメインの要素となる『主人公の母親の自殺』にも裏に何かがありそうな匂わせがあったり、主人公はかつて付き合ってた彼氏(今は親友の恋人)との関係を諦めきれていないような節があったり、親友の弟が霊に取り憑かれて酷い目に合う原因を作るのが主人公だったり、メインの設定にとにかく不穏な部分が多いです。


 加えて、主人公が母親の死のトラウマを差し引いても、かなり自己中心的な嫌な奴で観ていて腹の立つ性格だったり、友人たちと一緒になって霊を面白半分に召喚してバカ騒ぎする低能っぷりだったりと、観ていて『こいつらさっさと酷い目に合えば良いのに』と真剣に考えてしまうレベル。


 しかも、主人公の我儘に振り回される形で周辺の人間が次々と不幸になっていくので、観ていて本当に救いがなくてなかなかの胸糞っぷりです。(特に主人公の親友の少女が不憫すぎる…)


 オカルト映画らしく、メインの『心霊によるオカルト描写』なんかも悪くは無いのですが、ドラマの胸糞具合にばかり目が行ってしまうせいで『心霊よりも主人公の精神状態の方が怖いわ』という気持ちになってしまい、幽霊の印象が薄くて存在感があまり感じられないのは残念なところ。


 まあ、ストーリーそのものはテンポも良くて普通に面白いですし、ある程度は先が読める内容ながらも適度な緊張感やスリルのある展開は良い感じで、オチも『まあそうなるよね(笑)』って感じのオチではありますが、落としどころとしては悪くない印象。


 ただ、全体的にやや投げっぱなしな要素が多くて『結局どういう事だったの?』みたいな部分が割と残ってしまっているのは、気になるところかなぁ…
 (『主人公の母親の死の謎』とか最後まで良くわからないままだし、取り憑かれた友人の弟とかも最後にどうなったのか謎だし…)

 


 総評としては、色々と胸糞の悪い内容ながらも『そこそこ楽しめるレベルのオカルトサスペンス映画』って感じですね。


 ホラーらしい『胸糞なテイスト』なパンチの効いた設定個人的には割と好きですが、人によっては受け入れられないという人も居そうなので割と人を選ぶ作品かも?


 設定とかを含めて気になるようであればチェックしておいても損は無い作品だとは思うのですが、前述のとおり割と人を選ぶ部分のある作品だと思うので、その辺も含めて『お好みで』って感じの一本でしょう。