■■■「ホーボー・ウィズ・ショットガン」■■■
(60点/アクション)
カナダの田舎町へとやってきた初老のホームレスであるホーボーは、到着と同時にギャングで街の支配者であるドレイクという男が、一人の男を公開処刑する現場を見せ付けられ、街中で公然と障害事件や殺人が行われるという街のあまりの治安の悪さに辟易とさせられる。
その後、たまたまアビーという女性がドレイクの息子に誘拐されそうになっている現場に遭遇したホーボーは、その息子をブチのめして警察へと届けるが、警察署は既にドレイクに乗っ取られており逆に酷い暴行を受けてしまう。
暴行によって重傷を負っているところをアビーに助けられた彼は、この腐りきった街を救う為に、ショットガンを手に街のクズどもを一掃する事を決意するのだった…
街のギャングたち相手にたった一人でショットガン片手に立ち上がったホームレスの戦いを描いた、ルトガー・ハウアー主演のバイオレンスアクション映画。
『罪も無い街の住人がブチ殺されまくった事に怒りが有頂天に達したホームレスの男が、ショットガンを片手にギャングどもをブチ殺しまくる』という、ホントにソレだけの内容のお話ですな。
妙に古臭い感じの演出や無駄に過激なバイオレンス描写など、いわゆるロドリゲスやタランティーノの作る『グラインドハウス』のシリーズに近いようなノリの作品で、ルトガー・ハウアー版の「マチェーテ」みたいなお話だと言えば、その手の作品が好きな人なら雰囲気は分かって貰えるかと…
お話としては『驚くほど中身の無い作品』といった印象で、ひたすらにバイオレンスなシーンの連発を見せられてるような感じ。
マトモなストーリーが無い代わりにバイオレンスシーンは物凄く豊富で、『3分に1回の暴力シーン』みたいなのがプロモーションのウリになっている辺りでもだいたいのノリはお察しといったところ。
ただバイオレンスのシーンに関してはバリエーションも豊富で、とにかく過激。
首を切り落としたり頭をショットガンでブッ飛ばすのなんて朝飯前で、ゴーカートで頭をつぶしたりスケート靴で切り刻んだりといった、もはやギャグとしか思えないような描写もあって、その手のアホなノリが好きな人ならばソレだけでも十分に楽しめる作品だと言えるでしょう…
全身に鋼鉄の防弾スーツをまとった『地獄の使者』とかって中二病まるだしの殺し屋が出てきたりする展開も、なかなかにアホ臭くて良い感じ。
ただ難点を言えば、本家のグラインドハウスの『狙って作った悪趣味さ』に比べると、悪い意味でセンスが悪いというかバタ臭い感じがして、安っぽさが目に付いてしまうんですよね。
残虐シーンに関しても、主人公がギャングを殺すシーンよりもギャングが民間人を殺すシーンの方が多いので、過激な割にはちょっと爽快感が薄いのは難点かなぁ?
主人公のホーボーもギャング相手に無双するほどの無敵のヒーローって感じでも無いので、全体的にもうちょっとカタルシスが感じられるようなノリでも良かった気はします。
ラストの展開とか、唐突な感じのオチとかは割と好きですけどね…
総評としましては、とにかく過激な映像がテンコ盛りの作品なので『頭をからっぽにしてチープなバイオレンス描写を楽しむ映画』という感じでしょうか
逆にマトモなストーリーとかを求めている人には向いてないと思いますが、とりあえず『飛び散る血しぶきを見てスカっとしたい』という感じの人になら、間違いなくオススメできる作品ではないかと…
『グラインドハウス』みたいなノリが好きならまあまあ楽しめる内容だと思いますので、そういうタイプの作品が好きならばチェックしておいても良いのでは無いでしょうか。
(センスにしても過激な描写にしても、流石に本家にはちょっと負けてる印象はありますけどね。)