NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「11:11:11」(50点/サスペンス)

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■■■「11:11:11」■■■
(50点/サスペンス)

 妻と息子を放火による火事で失ったミリオン作家のジョセフは、その事件が原因で神への信仰を失い心の傷から未だに立ち直れずに居た。

 彼は小説を書く合間に、自分の心の傷をいやすために今の心境を日誌として付け続けていたが、そんなある日、弟から父が危篤だと聞かされて故郷のバルセロナへと帰郷する事となる。

 しかし帰郷先の実家で牧師である弟や父と話をするうちに、自分の不幸な出来事には『11-11』というオカルト的なメッセージを持つ数字が深い関わりを持っている事に気づいた彼は、2011年の11月11日に何か恐ろしい事が起こるのではないかと考えるようになり…



 妻と息子を亡くした事で信仰心を失った作家が『11-11』という奇妙な数字の導きによって驚くべき運命に巻き込まれていくという、オカルトサスペンス映画。

 「ソウ」シリーズの2~4作目を撮ったダーレン・リン・バウズマン監督によるサスペンス映画という事で、てっきりサイコサスペンス的なノリの作品なのかと思ってたのですが、予想外にかなりオカルト色の強い作品でした。

 というか、設定的にもノリ的にも「ソウ」とはかなりベクトルの異なる感じのお話ですし、ぶっちゃけ「ソウ」の監督って事をプッシュしなくても良いんじゃないか?』って感じの内容の映画ですね。

 本編のストーリー的には『とある作家の男性が自分の身にふりかかる不幸に『11-11』という数字が関わっている事に気付くが、実はその数字にはオカルト的に深い意味合いがあって…』といった感じの設定で、主人公がその『11-11』という数字にまつわる謎を追っていくという感じのお話です。

 内容としては、いわゆるオカルト的な『雰囲気映画』のテイストが強めのサスペンスといった感じで、「ソウ」のように残虐な要素とかは一切ありません。

 映像の見せ方のセンスはなかなか良くて、スペインの異国情緒が漂う雰囲気と超自然的な何かの醸し(かもし)出す空気が良い味を出している印象。

 ただ雰囲気は非常に良いのですが、序盤~中盤がたいした事件も起こらないうえに謎解きのテンポがちょっと悪くて、どうにも盛り上がりに欠けるのが辛いところ…

 『何か』の起こるリミットが2011年11月11日と最初から決定されており、お話の流れから『その日までは大した事件も起こらずに謎解きも遅々として進まないだろう』ってのが途中でなんとなく読めてしまうので、中盤辺りは雰囲気にも飽きてしまいちょっとダルかったかなぁ?

 でも、最後の最後まで『先の展開が全く読めない』って構成はなかなか良く出来ていて、サスペンスとしては割と楽しめる印象。

 ただ、いかにも「ソウ」シリーズの監督らしくラストで『意外な展開』があるのは良いのですが、ああいうトリックは人間がやるから面白いのであって『人知を超えた存在』にそんなトリックを使われても『所詮は俺らの常識の通用しない相手ですし…』という感じで釈然としない気持ちになってしまったのは自分だけでしょうか?

 あと、ラストの2分ぐらいで『強引に今までの全てのシーンの謎解き』を一気にやってしまう手法は、良くも悪くもいかにも「ソウ」の監督といった感じでした。(笑)


 総評としましては、悪く無くはないんだけどそこまで強く推す程の要素も無いような『普通レベルのオカルトサスペンス映画』って感じでしょうか?

 オカルト的な謎解きを仕込むにしても『もうちょっと現実的な題材』で仕込んでくれてればもっと楽しめる作品になったんじゃないかと思うので、その辺は惜しいところですかねぇ…

 雰囲気映画としては悪くない部分もありますし、オカルト系の作品が好きな人であれば『気になるようならチェックしておいても良いかも?』って程度の一本だと思いますが、「ソウ」シリーズの監督という部分に期待してる場合はソッチ方面の要素は殆どありませんのでご注意を…