■■■「フィンランド式残酷ショッピングツアー」■■■
(40点/サスペンス)
母親と一緒にロシアから隣国のフィンランドへのショッピングツアーへと参加する事になったスタースは、ツアーガイドの案内で新しく出来たという免税店のショッピングモールで、貸し切りでショッピングを行う事になる。
ツアーの様子を携帯のカメラで撮影していた彼だったが、偶然にも閉店時間でも無いのに店員がドアに鍵をかけている場面を目撃。
更に床に不審な血痕が残されているのを見つけて跡をたどったところ、バックヤードで倒れているツアー客らしき男性を発見する。
この異常な事態に母親と共にツアーガイドを呼びに行った彼らだったが、店員たちがツアー客を次々と噛み殺して居る現場に遭遇し、混乱しながらもなんとかしてショッピングモールから脱出しようとするが…
ロシアからフィンランドへのショッピングツアーに参加した親子が血に飢えたフィンランド人に襲われるという、不条理系のモンスター(?)ホラー映画。
何と言いますか、良い意味でも悪い意味でも『なんじゃコリャ?』としか言いようが無いような作品です。
『フィンランドにショッピングツアーに訪れた人間が、何だか分からないままにフィンランド人に襲われて食い殺される』という、系列的にはゾンビ映画に近いようなノリの作品なのですが…
ネタバレになってしまうので詳しくは書きませんが、フィンランド人が他の人間を襲う理由が、かなりムチャクチャな動機でブッ飛んでて面白いです。(何か元ネタがあるんだろうか?)
形式としてはいわゆるPOVタイプの低予算映画なのですが、『携帯電話のカメラで撮ってる』という設定の割には、あまり手ブレしないで画面がそこまで見辛くないのは良いですね。
というか、本作ってPOV形式にする意義が全く感じられないような内容なのですが、敢えてPOV形式にする必要性があったんだろうか?
特に主観視点でリアリティを持たせる事を効果的に使われているような要素も無いので、単純に『ブッ飛んだ設定のホラー映画』ってのだけで、十分だった気がします。
ただ肝心の映画の中身の方は、設定のインパクトの割には『中身が無い映画』という印象。
フィンランド人たちの襲撃シーンもまばらで全体的にテンポが悪く、全編の半分以上の部分が親子がダラダラと喋っているだけなので、ハッキリ言ってダレます。
父を失った親子の人間関係的なドラマを描きたいのかもしれませんが、その部分にもそこまで掘り下げが訳でも無くて、単純にダルい映画になってしまっている印象。
狂気とかを感じさせずに『淡々と襲い掛かってくるフィンランド人たち』は逆に静かな狂気を感じさせて面白いのですが、やはり肝心の襲撃シーンが少なすぎです。
また山場となるようなシーンも存在しないうえに残虐シーンなんかも殆ど描かれずに、全体の尺も70分程度と短いのでどうにも物足りなさばかりが残ります。
ラストの唐突っぷりや後を引く感じはなかなか良かったですが、同時に『えっ、もう終わり?』という感じで、ちょっとビックリしてしまいましたよ。
あと1シーンぐらい、どこかクライマックスとして盛り上がるような場面があっても良かったんじゃないかと…
タイトルになってる『ショッピングツアー』のショッピングモールでのくだりも、序盤のちょっとだけで終わってしまいますしね…
総評としましては、アイデアは悪く無いですしインパクトもあるのですが、肝心の中身の方は『ボリューム不足で物足りない作品』といった感じの映画でした。
ネタ映画としては良い感じなのですが、いかんせん内容が薄すぎて盛り上がりに欠けるので、オススメするにはちょっと弱い感じかなぁ?
敢えてPOVにするメリットも全く感じられない内容ですしね。
ただボリューム不足ながらも、それなりに面白い要素もある作品ではありますので、予告とかを観て気になっているのであればチェックしてみても良い作品かもしれません。