■■■「最強ゾンビ・ハンター」■■■
(50点/モンスター)
近未来、全世界で大流行した新型の合成麻薬『ネイタス』の影響により、人類の大半がイーター(ゾンビ)化するという事件が発生してから1年後。
家族を喪い、廃墟と化した街から街へと旅を続ける『ハンター』は、6人の男女の住む集落へとたどり着く。
ハンターは集落を率いるイエズス神父から、彼らに『空軍基地の飛行機を奪取して無人島へと脱出する』という計画があるものの、基地へと向かう途中の町に人だろうとイーターだろうと見境なく惨殺する恐るべき殺人鬼が出没するために計画が頓挫しているという話を聞かされる。
しかし、そんな矢先にイーターの集団が彼らの集落を襲撃。
集落を追われた彼らは、否応無しに脱出計画を実行に移す事となるが…
新型の合成麻薬によって人類の大半がゾンビと化した未来世界で町からの脱出を試みる7人の男女の運命を描いた、モンスターホラー映画。
一言で言ってしまうと超低予算タイプのゾンビ映画なんですが、いわゆる『ダサカッコ良い』系のグラインドハウス映画を意識したタイプの作品ですね。
特撮とかが作り物まる出しで超低レベルだったり、血の色が妙に鮮やかな紫色だったり、ゴアシーンが背景にピンクのフィルターをかけた20年ぐらい前のミュージックビデオみたいな演出だったりと、全体的に『良い感じのセンスの悪さ』で、ホントにセンスと予算が無いだけなのかそういう演出を狙った内容なのか『ギリギリのライン』を攻めてる感じなのがなかなか良いです。
まあ、ぶっちゃけホントに低予算でこの程度のレベルのものしか取れなかったってのが実情なんでしょうが、この絶妙なダサさとダメさ加減の誤魔化し方はなかなかに上手いです。
グラインドハウス系映画でお馴染みのダニー・トレホが『ゾンビを斧で次々となぎ倒すガテン系神父』の役で登場してるのも、俳優のチョイスを良く分かってる感じで好印象。
お話の方はストーリーらしいストーリーは殆ど無くて、特にコレといった理由も無く主人公が辿り付いた集落で、特にコレといった理由も無く主人公がヒロインとエッチしてたら、特にコレといった理由も無くゾンビの集団に襲撃されて、特にコレといった理由も無く突然変異のミュータントゾンビが出現してピンチに陥って、逃げ出して辿り付いた町でコレまた特にコレといった理由も無く殺人鬼に襲われるという…
言葉だけで聞くとそこまで変に感じないかもしれませんが、実際には『えっ、なんでそうなるの?』といちいちツッコミを入れたくなるような唐突な展開が多くて、あまりに酷すぎて逆にちょっと笑えるレベル。
ただ脚本は支離滅裂ながらも、無駄にイキオイだけはあるので特に退屈しないで観れるのは良い感じでしょう。
とまあ、なんか今までの説明だけ聞くと『意外と面白いんじゃない?』と思ってしまうかもしれませんが、特撮とか80年代の超低予算映画レベルでホント酷いですし、演出とかもホントに笑いを我慢できる程度の『絶妙なダサさ』で、割と寛大な心を持って接しないとあまりに酷さにブチ切れる人が居てもおかしくないような内容なので、ぶっちゃけ普通にゾンビ映画が観たい人にはあまりオススメできるレベルではありませんけどね。(笑)
総評としましては、マトモなゾンビ映画として観るとかなり辛い内容ですが、『超低予算のグラインドハウス系のゾンビ映画』って方向でネタ映画として楽しむならば『それなりに楽しめるZ級映画』といった感じの作品です。
そういう映画が大好きで『イキオイとノリさえ良ければ割となんでも許せてしまうような人』ならば、それなりに観る価値はある作品だと思いますのでバカっぽいタイトルやノリが気になっているのであればチェックしておいても損は無いでしょう。
基本的にイロモノ大好きな好事家向けの作品だと思いますので、そういうのに興味が無い人は間違って借りてしまわないように要注意です。(まあタイトルからしてイロモノっぽいので、ある意味で親切な作品かも?)