■■■「アイ・フランケンシュタイン」■■■
(55点/アクション)
18世紀にヴィクター・フランケンシュタイン博士によって作り出された『フランケンシュタインの怪物』。
伝説では死んだとされていた彼だったが、彼の『不死の肉体』の秘密を狙う悪魔軍の王子ナベリアスの襲撃を受けた彼は、危ういところを天使軍のガーゴイルの女王リオノアによって救われて、人里離れた土地で生き延びていたのだった。
そして現代、悪魔軍から逃げ続ける事をやめて戦うことを決意したアダムは、街へと赴き悪魔軍のアジトに奇襲をかけるが彼の存在に気付いた悪魔軍は再び彼の身柄を狙うようになり、やがてその戦いは天使軍と悪魔軍の全面戦争へと発展していくのだった…
現代に生き延びていた『フランケンシュタインの怪物』が、その『復活』の秘密を狙う悪魔軍と天使軍の戦いにまきこまれて激戦を繰り広げていくという、ファンタジーホラー風味のアクション映画。
派手な予告と『フランケンシュタインの怪物』が天使や悪魔の軍勢と戦うという中二病的な設定に惹かれて観てみたのですが、なんと言いますかビックリするほど中身の無い映画ですね。
お話としては、フランケンシュタイン博士が『フランケンシュタインの怪物』に行った『復活』の秘術を巡って、天使軍と悪魔軍が戦うという感じの壮大な感じのストーリーがあるのですが…
ぶっちゃけそんな大げさなストーリーを感じさせるほど重厚なドラマは描かれておらず、実際には『天使軍と悪魔軍とフランケンシュタインの怪物がひたすらドツキあいの戦闘を繰り広げているだけ』という感じのお話です。
良くも悪くもとにかく中二病テイストに溢れた作品で、天使やら悪魔やらを絡めた『ボクのかんがえたさいきょうのフランケンシュタインでんせつ』みたいな少年誌コミックばりの清々しいまでにコテコテの設定。
それに加えて無駄に派手なアクションシーンや、天使や悪魔が倒された時に火の玉になったり光の柱になったりするという矢鱈とカッコ良いビジュアルも、そういうのが好きな人ならばなかなかタマらない感じのものがあるでしょう。
ただ中身の方は、良くも悪くも『ハデでカッコ良いだけの映画』って感じなんですよね。
壮大な設定がある割にはストーリーが物凄くチープで中身が無くて、一応は『怪物』となってしまった主人公の葛藤やら人間性やらがテーマになっているようなのですが、ぶっちゃけそんな要素は微塵も感じられません。
また登場人物が多い割にはキャラクターの描き込みも薄くて、主人公以外は天使と悪魔のリーダー以外は名前すら必要ないような状態で、他の連中はキャラを掘り下げる前にサクサクと死んでいくばっかりなので何がなにやらという感じ。
戦闘シーンも無駄にイキオイだけはあるんですが、天使も悪魔も特にコレという芸を持っておらず単に鈍器とか刃物でドツキあっているだけなので、どうにもアクションシーンが単調であまり面白味が無いのは辛いところです。
というか敵が天使軍や悪魔軍という設定の割には物凄く弱くて、単に『体が丈夫なだけのフランケンシュタインの怪物』にサクサクと殺されまくるのはどうなんだと…
(一応『悪魔を倒せる刻印された武器』みたいなのを使ってるって設定なんですけど、『普通の武器に刻印を刻むだけ』で日曜大工のレベルで誰でも作れるので、『この武器の作り方さえ知ってれば普通の人間でも悪魔軍を倒せるよね?』って気がしたのは自分だけ?)
そんな感じでストーリーの8割ぐらいは単調なドツキあいをやってるだけみたいな感じですし、ラストも『人類存亡をかけた戦い』みたいな派手な展開になる割には敵のボスを倒しただけでなし崩しに事件が解決しちゃうし、何かもうプロットとか脚本とかが色々と微妙すぎです。
ノリとイキオイだけで映画を作るのは良いのですが、もうちょっとキチンと盛り上がるシーンを盛り込むなりして盛り上がるようなお話を作っていただきたいものですよ…
総評としましては、中身はさておき『ひたすら派手なアクションシーンとビジュアルだけの映画』という感じの作品でした。
予告とかを観た感じだと面白そうで期待してたのですが、ぶっちゃけ『予告の内容が全て』みたいな感じの作品で、本編をみても『あの予告の内容がそのまま90分に拡張されるだけ』って感じの一本です。
まあ色々と不満はありますが、『天使と悪魔とフランケンシュタインの怪物が戦う』という中二病っぽい設定が気になる人や『難しい事を考えずにカッコ良い演出とアクションシーンだけを観たい』というのであれば、まあまあチェックしてみても良い作品かもしれませんよ。