NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ハープ・プロジェクト」(40点/サスペンス)

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■■■「ハープ・プロジェクト」■■■
(40点/サスペンス)

 ドイツに住む高校3年生のダニエルとトーマスは、ネットで知り合った2人の少女と共にネットで流行している『宝探しゲーム』(誰かが隠した『宝物』をネット上の手がかりを元に探すゲーム)に参加する事となる。

 宝箱の隠し場所が冷戦時代の軍事施設のである『立ち入り禁止区域』にある事に不気味なものを感じながらも首尾よく『宝物』を見つけた彼らは、近くの廃墟となったトレイラーパークでバカンスを楽しんで行こうとするが、そんな最中に仲間の一人のジェシーが原因不明の昏睡状態に陥ってしまう。

 突然の事態に混乱していたところを奇妙な防護服を着た男に救われた彼らは、その男からこの場所が「HAARP」と呼ばれる電磁波を利用した冷戦時代の秘密兵器の実験場で、今もその兵器が稼働しており近づくだけで危険な状態だと知らされるが…



 冷戦時代の米軍の秘密兵器「HAARP」の実験場に入り込んでしまった若者たちが遭遇する恐怖を描いた、ドイツ製のサスペンスホラー映画。

 陰謀論の都市伝説として有名なHAARPを題材とした、いわゆる都市伝説もののホラー映画です。

 「HAARP」と言えば別名『オーロラ兵器』などとも呼ばれており、アラスカにある米軍のオーロラ調査施設が実はこの秘密兵器で、電磁波によって敵国の電子機器を広範に渡って破壊するとか、地下水脈に影響を与えて人工地震を引き起こすとか、電離層に影響を与えて地球規模の大災害を引き起こすとか諸説言われているシロモノですね。

 出自も冷戦時代の秘密兵器だとか第二次大戦末期の遺物だとか色んな説があって、海外ゲームとかが好きな人ならバトルフィールド:バッドカンパニー2」に出てきたアレだと言えばピンと来る人も居るかも?

 まあそこそこ有名な割には、あんまり映画とかの題材になっているのは聞いた事が無いので、そういう意味ではレアな作品です。

 ただ題材としては珍しいものの、作品自体が面白いかと言われると正直言って微妙なところ…

 作中では「HAARP」は『怪しげな電磁波を発する鉄塔のある極秘施設』として描かれており、近くに行った若者たちが体調不良に陥ったり苦しんだりするという形で脅威が表現されているのですが、当然ながら『電磁波』は目に見えないですので『主人公たちが勝手に苦しんでいるだけ』みたいに見えてどうにも盛り上がりません。

 一応、「HAARP」の発する電磁波は放射線みたいに表現されており、主人公たちの歯や髪の毛が抜けたり出血したりして苦しむ訳ですが、この表現もだいぶマイルドなのに加えて「HAARP」の電磁波が放射線のように『少しでも被爆したらヤバいもの』なのかがよく分からないため、いまいち緊張感も乏しい印象。

 ただHAARP」の施設の『前時代的なデザイン』やら『怪しいイメージ』なんか割と良く出来ていますし、施設の上空に広がる『同心円状の雲』なんかもなかなか不気味で、映像センスや作品の雰囲気は結構良い感じなんですよね。

 また主人公とヒロインのキャラクターもそこそこ良く描かれているため、お話に緊張感が無い割にはそこまで退屈さを感じさせないのは悪く無い印象。

 HAARP」の影響がビジュアル的に弱すぎるのが難点だと思うので、もっと『グロいレベルで肉体に影響がある』とか『電磁波による脳への影響でとんでもない幻覚が見える』とかって感じにして、映像的なインパクトのある内容だったら割と楽しめる作品になったかもしれません。

 というかドイツ製ホラーという事で、そういうビジュアル面でのエグさも期待してたのですが、そういう部分ではちょっと肩透かしでしたよ…


 総評としましては、題材としてはレアだけど中身の方は『地味で盛り上がりに欠けるサスペンス映画』ってのが正直なところです。

 HAARP」という題材自体が珍しいので、そういう方面に興味があるのであればチェックしてみるのもやぶさかではないとは思いますが、あまりオススメする程のレベルではないかなぁ?

 まあ極端に酷い出来の作品でも無いので、『もうちょっと観どころとなるき要素があればなぁ…』って感じの一本でした。