■■■「Mr.タスク」■■■
(55点/サスペンス)
友人と一緒にポッドキャストの運営を行うウォレスは、ある日、番組のネタのためにカナダまで取材に訪れた際に立ち寄ったバーで、過去に多くの面白い体験をした航海士の話を知った事から、彼に取材を申し込む事になる。
片田舎の町の屋敷でハワードと名乗る老人に出会ったウォレスは、紅茶を飲みながら彼から過去の驚くべき体験を聞かされるが、紅茶を飲み終わった直後に唐突に意識を失って倒れてしまい、目を覚ますと椅子に拘束された状態のうえに自分の足が切断されてしまっている事を知りパニックに陥る。
ウォレスは老人から『毒グモに噛まれており仕方なく切断した』という説明を受けるが、老人の真の目的は彼の体を『ある生物』へと改造する事だった…
人間をセイウチに改造しようとするマッドな老人に捕らえられた若者の辿る運命を描いた、サスペンスホラー映画。
以前に、人間を連結して「ムカデ人間」を作ろうとする男の登場する映画がありましたが、本作はマッドな男が「セイウチ人間」を作ろうとするというお話ですね。
人間を拉致して改造ってだけならまだしも『何でセイウチやねん!!』という疑問を抱きたくなる訳ですが、セイウチ人間を作る理由は一応は本編の中で語られて居り、まあまあ納得の行く動機ではある感じ…
(まあ元航海士の老人が、何で人間をセイウチに改造するような特殊な外科手術の技能を持っているのかは謎ですけど…)
ただ設定の奇抜さに対してお話の内容は地味…というか、全体的にテンポが悪くてイマイチな印象。
序盤の老人に出会って過去の逸話を聞かされるシーンでも、どうでも良いような過去話が妙に長いですし、主人公が監禁されてから後の展開でも主人公を助けに来ようとする友人と恋人の様子が結構な尺を取って描かれたりと話が脇道に逸れる展開が多く、しかもその脇道があんまり面白く無いせいでどうにも冗長でダラダラした印象を受けます。
特に途中で登場する『殺人鬼の老人を追う刑事』みたいな奴が、台詞回しとかが物凄くウザくて観てて非常にイライラしたのですが、別に大して重要なキャラでも無いしお話にも殆ど絡んでこないので『あのキャラ必要なかっただろ?』と…
(まあコメディ的な立ち位置の『ウザいキャラ』というネタなのは分かるんですけど…)
正直言って脇道にあんなに尺を取るぐらいなら、もっとマッドな老人のマッドっぷりを尺をかけてしっかりと描いて欲しかったですよ。
あと人間のセイウチへの改造に関しても、『ちょっと外科手術を行った程度じゃ人間をあんな体型に改造するのは無理だろ?』(元々がジャバ・ザ・ハットみたいな超絶肥満体型だったのならさておき…)とか、『あんなに改造されるまで探すのにかかるとか、友人と恋人は主人公を探すのにどんだけ時間がかかっとるねん?』とか色々とツッコミどころが多過ぎ…
『セイウチ人間』というネタでインパクトを狙ったのは良いと思うのですが、設定やらの周辺がちょっとグダグダになりすぎて、どうにも釈然としない部分が多くなりすぎているのはいただけないかなぁ?
ぶっちゃけ「ムカデ人間」の二番煎じ感がありすぎるせいで、インパクトとしてもそこまで強く無いですしね…(苦笑)
総評としましては、『セイウチ人間』という設定のインパクトはあるものの『設定の奇抜さの割にはいま一つパンチに欠ける映画』ってのが正直なところです。
ムチャクチャな設定の割には、お話が妙にコメディ路線だったり淡々としすぎてて狂気が薄まってしまってるので、狂気のマッドサイエンティスト系のお話を期待してるとちょっと肩透かしを食らってしまうかも?
(こういうのは『ムチャクチャな設定を大真面目に描く』って方が面白いと思う…)
とまれ映画そのものの出来はそこまで悪く無いですし、ネタ映画として観る分には十分に楽しめる範疇(はんちゅう)ですので、気になっているならばチェックしておいても損は無い一本だとは思いますよ。