（６０点／サスペンス）
森の中にあるトウモロコシ畑に囲まれた一軒屋に住むエリアスとルーカスの双子の兄弟は、ある日、整形手術を受けて顔を包帯でグルグル巻きにして帰ってきた母親の姿を見て衝撃を受ける。
彼らは母親の以前と変わってしまった態度から、母親が別人と入れ替わってしまったのではないかと疑うようになり、兄弟で力を合わせて母親の姿をした何者かの正体を暴こうとするが…
整形手術から帰ってきた母親が何者かと入れ替わってしまったのではないかと疑いを抱いた双子が、母親の正体を暴こうとするというサスペンスホラー映画。
オーストリア製のサスペンスホラーなのですが、なんというか欧州ホラーらしく独特の雰囲気を持った薄気味の悪い作品ですね。
自分も幼少の頃に、家族が病気で弱り果ててしまった姿を観た時に『別人に変わってしまったのではないか』という言いようの無い不安を感じた事があるので、そういう幼少のトラウマに着想を得た作品なのかと思いきや…
ネタバレになってしまうので詳しくは書けませんが、なんというかかなり予想と違った内容でしたよ。
なんというか欧州サスペンスらしい独特のジメっとした雰囲気で、予告で観たとおり母親の異様な感じも確かに怖いのですが、それ以上に『双子』の方が最初からいきなり怖いです。
割と序盤から『こいつらちょっとおかしくない？』ってのが分かってしまって、包帯グルグルの母親の異様な雰囲気に双子のマトモじゃなさそうな雰囲気が加わったサスペンスドラマが、独特のジメっとした空気感の中で繰り広げられるので、なんというか非常に『良い意味でストレスフルな作品』という感じ…
胸の奥が不安でモヤモヤするような状態がかなり延々と繰り広げられるので、100分程度の尺が非常に長く感じられて、とにかく不気味で薄気味の悪さを感じさせられる映画です。
ただ少しネタバレになってしまいますが、中盤まで観た辺りで割と『どう転んでも後味の悪い話になりそう』なのが容易に予想が付いてしまうのですが、予想どおりにかなり後味の悪い映画ですので、観終わった後にスッキリとした気分になりたいような人には全く向かない作品という印象。
またお話も全体的に淡々としており、そこまで山場となるような部分が無くて盛り上がるような要素には欠けるので、ハリウッド的なテンポの良い作品を期待していると、ちょっと途中で退屈に感じてしまうかも…
総評としましては、低予算ながらもなかなか怖くて『良作と言って良いレベルのサスペンスホラー映画』だと思います。
精神的に色々と気分の悪くなるような要素の多い映画なので、そういうノリが苦手な人には向いてない（あと虫が苦手な人にも少し向いてない）ですが、そういうストレスや薄気味の悪さが味わえる映画が好きな人ならば、なかなかオススメな一本だと言えるでしょう。
欧州映画らしくちょっと観る人を選ぶような内容ですけど、気になっているのであればチェックしておいて損は無い一本だと思いますよ。
