NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「スクリーム・ガールズ~最後の絶叫~」(50点/サスペンス)

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■■■「スクリーム・ガールズ~最後の絶叫~」■■■
(50点/サスペンス)

 スピアフィッシュという田舎町にあるスーパーで働くコリーンは、ある日、職場の掲示板に女性の惨殺死体の写真が貼られているのを発見し、警察に相談するが、警察は事件性の証拠が不十分として取り合って貰えない。

 同じころ、その写真をネットで観たスピアフィッシュ出身のファッションカメラマンのピーターは、写真にインスパイアされてアシスタントやモデルと共にスピアフィッシュの町へと訪れる。

 写真の発見者としてピーターと出会ったコリーンは、彼からモデルへとスカウトされて彼の主催するパーティへと参加する事になるが、その帰りに彼女の車に新たな女性の死体の写真が貼り付けられているのを発見。

 殺人鬼に付け狙われているのではないかと恐怖を感じた彼女は、ピーターのスカウトに応えて町を出てLAへと移住する事を決意するが…



 とある田舎町に住むスーパーの店員の女性が死体の写真を見せつける事が趣味の連続殺人鬼に狙われるという、スラシャーホラー映画。

 ウェス・クレイヴンが亡くなる前に制作に関わった最後の作品』という事で、なんとなく「スクリーム」っぽいタイトルが付いていますが、内容的には特にスクリームと似たような部分がある訳でも無い作品です。

 そもそも、『ホラー映画のお約束』と『学園ものサスペンス映画』のノリを踏襲したスクリームに対して、こちらは単なる悪趣味な殺人鬼の登場するスラッシャーホラーという感じの内容。

 まあでも『死体の写真を撮って次の犠牲者に送り付ける』という殺人鬼のフェティッシュさやら、その写真にインスパイアされて対抗意識を燃やす写真家やら、なかなか個性的なキャラクターが登場する辺りとか、ちょっとウェス・クレイヴンらしさを感じさせるノリで設定そのものは悪くない印象ですね。

 ただ、設定は悪くないもののそれ以外の部分に関しては普通というか、やや残念なスラッシャーホラーという感じなのが正直なところ。

 まず何が残念かって、ヒロインを付け狙う変態殺人鬼という濃いめの設定の割には、殺人鬼の個性がいま一つ薄くて印象が弱いという事。

 ヒロインに死体の写真を送り付けて恐怖におびえさせるのが目的かと思いきや、ヒロインの周囲の人間を殺したのに殺しっぱなしで特にアクションを起こさなかったり、恐怖を与えるためにこだわりを持って計画的に殺人を犯しているのかと思いきや、場当たり的にその辺にいる人間を殺してみたりと、行動にいま一つ一貫性が感じられないのでどうにも殺人鬼の狙いとかキャラクターがつかみ切れません。

 変態写真家の方も何かのキーマンになってるのかと思いきや、下品な言葉を連呼する以外は行動にあまり面白みが無いですし、ヒロインの周辺の人間もサクサクと殺されるだけの役立たずばかりでお話を盛り上げる役にも立たず、殺害シーンも個性が無くてどうにも面白みに欠けます。

 ストーリーに関しても、犠牲者が大量に出る割にはお話のメインの部分はなかなか進まないのでイライラさせられますし、ようやくヒロインがメインのストーリーに関わったと思ったら、たいした盛り上がりも無いままに物凄くアッサリとしたオチで終わりですし、とにかく全くカタルシスが感じられないのが辛いところですよ。

 何か全体的に、矢鱈と濃い変態的な設定のキャラクターたちをベースにしながら『変態趣味』を全く理解していない監督と脚本家が作った映画という感じで、悪趣味要素にしても変態要素にしてもとにかく盛り上がらないんですよ。

 あと殺人鬼も、大量殺人を行った後に特に慎重に証拠隠滅をしている訳でも無いのに全く警察が動かなくて逮捕もされないというのは、いくら田舎の警察が無能でも流石に無理がありすぎて違和感がありまくりなんですが、その辺の設定にしてももうちょっとどうにかならなかったのかと…


 総評としましては、面白そうな設定の割に凡庸な内容という『ちょっと残念なスラッシャーホラー映画』という感じの作品です。

 ウェス・クレイヴン監督の最後の作品という事で気になっているのであれば観てみても良いかもしれませんが、ぶっちゃけあんまりウェス・クレイヴン的な要素も無いので、そこまでオススメは出来ない感じかなぁ?

 まあ微妙に残念なだけで致命的にツマんない訳でも無いですし、こういったジャンルが好きで設定やら気になっているのであれば、観ておいても良いかも…って程度の一本だとは思いますよ。