NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「10クローバーフィールド・レーン」(65点/サスペンス:結構オススメ)

イメージ 1

■■■「10クローバーフィールド・レーン」■■■
(65点/サスペンス:結構オススメ)

 ある日、不仲となった恋人から離れるために車を走らせていたデザイナーのミシェルは、深夜のハイウェイで事故を起こしてしまい、目を覚ますと地下にあるシェルターのような場所で怪我の手当てを受けた上で監禁されている事に気付く。

 彼女は驚きのあまり混乱に陥るが、シェルターの持ち主だと名乗るハワードと言う男性から『全世界が正体不明の敵からの大規模な攻撃を受けて、文明は崩壊したうえに地上は有害物質で汚染されてシェルターから出る事ができない状態』だという驚くべき話を聞かされる。

 ハワードの話を信じられない彼女は、なんとかしてシェルターから脱出しようと試みるが、自らシェルターに避難してきたと言う技師のエメットという男性からも同じような話を聞かされた事から、外の世界の様子が全く分からないままに疑心暗鬼を抱きながらも男女3人でシェルターの中で生活していく事となるが…



 事故になった若い女性が目を覚ますと『世界が謎の侵略者に攻撃を受けている』という奇妙な話を聞かされたうえで地下シェルターに監禁されるという、シチュエーションスリラー映画。

 タイトルから分かるとおり、J.J.エイブラムスのクローバーフィールド/HAKAISHA」の一応の続編に当たる新作なのですが、作品のジャンルや方向性も全く異なりますしストーリーの繋がりも殆ど無い(というか『続編』という扱いにする必要があったのか判然としないレベル)ので、シリーズとしては前作を観ていなくてもあんまり困らない感じの内容ですね。

 『POV形式のモンスター映画』という独特のシチュエーションの佳作モンスター映画だった前作に対して、本作は『地下シェルターでの男女3人のやり取りを描いたシチュエーションスリラー映画』で、これまた随分と大胆な路線変更をしてきた感じですが、本作は本作でなかなか良く出来たシチュエーションスリラー映画という感じの作品です。

 お話としては『事故にあって意識を取り戻した女性が唐突に地下シェルターに監禁されている事に気づき、シェルターの持ち主の男性から「世界が謎の侵略者に攻撃を受けて文明が崩壊した」というにわかには信じられない話をされる』というなかなか特異なシチュエーションで、流れとしては『果たしてこの男の話は真実なのか、もしくは狂って妄想に取り憑かれた狂人なのか…』というような謎解きが中心にストーリーが進んでいくような感じです。

 いわゆるシチュエーションスリラーらしく、地下のシェルターの内部のみを舞台にほぼ3人の登場人物だけでお話が進んでいくのですが、徐々に『外の世界』の情報が明らかになっていったりと、それなりに事件が起こるのでまあまあ退屈しないで観れる印象。

 またシェルターの持ち主の男性にも『意外な秘密』があったりと、一筋縄ではいかない展開が仕込まれていたりするので、ほぼ舞台の転換の無い作品の割には思ったよりも緊張感のある内容で予想以上に楽しませてくれます。

 シチュエーションスリラーという作品の性質上、あんまり内容に触れるとネタバレになってしまうので詳しくは書きませんが、グテグテで投げっぱなしになりそうな展開をうまい具合にまとめて、カタルシスのあるオチに仕上げているのは非常に良い感じでした。

 ただ良く出来ているとはいえ、やはりシチュエーションスリラーらしい問題点はそのままで、場面が狭いシェルターの内部から殆ど移動しないので途中でちょっとダレてしまい気味なのは致し方ない部分ですね。

 お話や謎解きの展開も遅めでダラダラしたシーンも多いので、ちょっとテンポの悪さを感じる部分があるのも残念なところ。

 またクローバーフィールド」とタイトルを冠している割には、前作とあまりにもシチュエーションやらが違いすぎるので、前作を好きだった人が同じようなノリの新作を期待していると、あまりのノリの違いっぷりにガッカリしてしまうかも…ってのは気になった部分でした。


 総評としましては、予想してた内容とは違ったものの『思ったよりも良く出来た佳作シチュエーションスリラー映画』といった感じの作品ですね。

 「クローバーフィールド」の続編と期待してみると方向性が違いすぎて肩透かしを食らわされるかもしれませんが、単純にシチュエーションスリラー映画として観るならば、そこそこ楽しめる一本という感じです。

 まあ前作とはタイトルも敢えて違った感じ(『これって続編なの?』と疑問を抱くようなタイトル)にされていますし、続編ものという事をあまり気にしないで観れば割と普通に面白い作品だと思うので、そこそこオススメできるサスペンス映画ではないでしょうか。