■■■「エルサレム」■■■
(55点/モンスター)
1年前に事故で兄を無くしたサラは、失意からの気分転換のために友人のレイチェルと共にイスラエルへと旅行に出る。
飛行機の機内で知り合った人類学を研究する若者・ケヴィンと意気投合した彼女たちは、彼と一緒にエルサレムへと向かう事となる。
エルサレムで休暇や観光を楽しむ彼らだったが、ソロモン王の地下洞窟に行って以降、ケヴィンの様子がおかしくなり病院へと入れられてしまい、更にその日の夜の『贖罪の日』に街の旧市街でテロらしき事件が発生し軍隊が出動する事態へと発展。
彼らはパニックの中、旧市街から脱出するために避難を開始するが、街中には単なるテロとは思えないような人ならざるものが徘徊をはじめており…
女性の観光客たちがエルサレムに訪れたところ、『贖罪の日』に地獄の門が開いて異形のものたちが出現して街が大パニックに陥る現場に遭遇するという、モンスターパニック映画。
いわゆるPOV(主観映像)形式のモンスターパニック映画なのですが、「REC」と「クローバーフィールド」を足して2で割ったような感じの作品(面白さのレベルでいうと3で割ったぐらい?)ですね。
お話としては、『とある観光客が『贖罪の日』にエルサレムに訪れたところ地獄の門が開いて異形のものたちが出現する現場に遭遇する』みたいな感じの内容。
小粒で小規模な題材が多いPOVとしては珍しく大規模なパニックを扱った作品で、ゾンビものみたいな感染型ホラーのような設定に加えて、巨大なモンスター(巨人)なんかも出現したりとなかなか意欲的な作りの作品にはなっています。
お話の作りは割とオーソドックスな感じで、主人公たちがモンスターが出現してパニックに陥った街からなんとかして脱出しようとするという感じの流れなのですが、序盤に若干どうでも良いシーンがあるものの全体的なテンポも悪くなくて及第点という感じの印象です。
ただ意欲的で悪くは無いものの、全体を通して本当に『及第点』でそれ以上でも以下でも無い感じの内容なんですよね…
予告で巨大なモンスターが登場する映像があったりしたので、派手な展開を期待していたのですが、あのモンスターはホントにチラっと画面に映る程度で殆ど出番らしい出番は無し。
他のシーンは『悪魔に取り憑かれた人間(というか悪魔に変異した人間)』がモンスターとして登場するものの、こいつらも単なる『空が飛べるゾンビ』的な扱いであまり面白味がありません…
冒頭で「REC」と「クローバーフィールド」を足して2で割ったと説明しましたが、確かにそれらしい要素はあるものの、終盤は地下洞窟みたいな場所に入ってしまうのでパニック要素は小規模になってしまいますし、全体的にモンスターの襲撃シーンもそこまで多くなくて、ちょっと盛り上がりに欠けます。
なんというか、パニックものとしては「クローバーフィールド」ほどの臨場感や迫力も無くゾンビものとしては「REC」ほどの緊張感も無いので、悪くは無いのですがどうにも中途半端な印象ですよ。
オチも『いかにもPOVものらしい投げっぱなしオチ』ですし、全体的にもうちょっと本作ならではの個性とか捻りのようなものがあっても良かったんじゃないかなぁ?
あと個人的に辛かったのが、本作は主人公の装着した『スマートグラス(メガネ型コンピュータ)』で撮影した映像という設定になっているため、本編が最初から最後まで殆ど主観映像で進むのですが…
自分は主観映像を見ても『画面酔い』とか『3D酔い』ってそこまでする体質じゃないのですが、この映画の主観映像は久しぶりに途中で頭が痛くなってしまいました。
そこまで酷く画面が揺れるという訳でも無いので体質に合わなかった的なものだと思うのですが、『画面酔い』を起こしやすい人は注意が必要な作品かもしれませんよ。