NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ゆれる人魚」(55点/ファンタジー)

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■■■「ゆれる人魚」■■■
(55点/ファンタジー

 1980年代のポーランドワルシャワ
 人間たちを捕食して生きる人魚の姉妹のシルバーとゴールデンは、港町にあるナイトクラブへとたどり着く。

 オーナーに気に入られてクラブで働く事となった彼女たちは、持ち前の美声とダンスでたちまち人気者となっていくが、そんな最中、姉のシルバーはクラブのベーシストであるミェテクと恋に落ちてしまう。

 しかし人間を食料としか見なさない妹のゴールデンは、姉の行動を受け入れる事ができず、徐々に2人の間の亀裂は大きくなっていき…



 人間を獲物として食らう『人魚』の姉妹が、人間相手に恋をしてしまったことから思いがけない事態へと巻き込まれていくという、ダークファンタジー風の恋愛ものサスペンススリラー映画。

 ポーランドで作られた、いわゆる『人魚姫』を題材としたダークファンタジー作品ですね。

 お話としても『場末のナイトクラブにたどり着いた人魚の姉妹の姉がとある男性に恋をするが、お互いの種族の間には超えられない壁があり…』みたいな感じで、そのまんまラブストーリーである『人魚姫』をオマージュとしてサスペンス要素を足したような感じの内容です。

 パッケージからは分からないですが、いわゆるミュージカル仕立ての構成となっており、割とひんぱんに歌のシーンが挿入されて実質的に作品の3分の1ぐらいは歌ってる感じかも?

 最初はミュージカルだと思ってなかったのでちょっとビックリしてしまいましたが、欧州作品らしくキッチュな感じの映像表現や雰囲気と頻繁に挿入される歌の演出が、ファンタジーテイストをより強く感じさせてくれる印象。

 ただ単なるファンタジーではなくダークな要素も割と強めで、ちょっとグロいシーンやら不気味なシーンやらもあったりする辺りの、『悪趣味さ』がある意味で良い味を出しています。

 ただミュージカル映画の割には尺が90分と短めで3分の1ぐらいは歌ってる事もあって、ストーリー自体は内容が薄くてかなりアッサリしている印象。
 特に中盤辺りからの流れが矢鱈と急展開すぎて、ちょっと置いてきぼりを食らったような感がありましたよ。

 まあ『人魚姫のオマージュだから細かい説明は無くても分かるよね』って言われればそうなのですが、ヒロインが人間を好きになる流れとか、姉妹の心の機微とかはもうちょっと丁寧に描いても良かったんじゃないかと…

 あと個人的にですが、作中で歌われる楽曲がいま一つ印象に残らない曲が多かったのに加えて全体的な映像や演出も地味目なため、ミュージカルのシーンがちょっと盛り上がりに欠ける感があったのは残念だったかなぁ?
 ミュージカル演出に関しては、歌もダンスももうちょっとガッツリと見せて欲しかったところです。

 ラストの落としどころとかも良かったですし、なかなか悪くない部分もあっただけに、ちょっと物足りなさの残る作品でしたよ。


 総評としましては、地味な内容ながらも『独特のセンスや雰囲気を持ったダークファンタジー恋愛ドラマ』といった感じの作品ですね。

 童話を題材としたダークファンタジー系の作品やら、ちょっとクセのあるミュージカル作品やらが好きならば、まあまあ楽しめる作品ではないかと…

 物足りない部分も多いので強く推すほどかと言われると微妙ではありますが、その手のジャンルが好きで気になるならばチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。