■■■「蜘蛛の巣を払う女」■■■
(65点/サスペンス)
ドラゴンの入れ墨を背中に持つ天才ハッカーであるリスベット・サランデルは、ある日、世界的なAI研究の技術者であるバルデル博士から仕事の依頼を受ける。
それは、彼が開発した『全世界のミサイル発射システムに干渉して自在にコントロール可能になる』という恐るべきプログラムを、アメリカの国家安全保障局(NSA)から取り戻して欲しいというものだった。
天才である彼女はいとも簡単にその任務を達成するが、その直後に彼女の元を謎の組織が襲撃。
襲撃者からはなんとか逃げ延びるものの、彼女の盗み出したプログラムを何ものかによって奪われてしまう。
彼女は謎の組織の正体を探りプログラムを取り戻すために、かつての事件の協力者である記者のミカエルに協力を依頼するが…
ドラゴンタトゥーを背中に持つ天才ハッカー少女リスベットの活躍を描いたサスペンススリラー映画である、『ミレニアム』シリーズの第2弾。
同じシリーズである「ドラゴン・タトゥーの女」の続編に当たる作品で、全作の登場人物たちの再びの活躍を描いた作品となっています。
といっても全作からキャストや監督も変更になっており、やや雰囲気も異なる感じになってしまっているので続けて観ると逆に混乱するかも?
お話としては、非常に子気味良い作りのサスペンス映画という感じの内容で、テンポ良く二転三転していく先の読めない展開はなかなか面白いです。
中身の方もアクションありカーチェイスありと見せ場も非常に盛りだくさんな感じの構成となっており、観ていてとにかく退屈しないのは良いところですね。
主人公のリスペットも、天才ハッカーなのに加えて裏社会の工作員と素手で渡り合えるほどの身体能力を持った完璧超人として描かれており、非常にカッコ良いヒロインを描いた痛快な作品という感じ。
他の登場人物も軒並み非常に有能で、観ていてとにかくストレスが溜まらないのもなかなかポイントが高いです。
ただ続編の割には、前作のストーリーや主人公たちのキャラクターに言及するようなシーンがほとんど無く、本シリーズを本作からいきなり観た場合は若干混乱してしまいそうな部分があるのは気になるところ。
また、アクマでも謎解きミステリーが中心だった全作と比べると、本作はサスペンスという形態を取っているものの、殆ど『スパイアクション映画』といった感じのノリの作品になってしまっており、だいぶテイストが変わってしまっています。
加えて全作はフィンチャー監督だったので、ダークで雰囲気映画的な独特のテイストがあったのですが、そういうテイストも無くなってしまっているので、全作のそういう部分が好きだった人にはちょっと不満に感じる部分も多いかも?
逆にそういう部分さえ気にならなければ、普通に楽しめる娯楽映画に仕上がっているとは思うんですけどね…
総評としましては、普通に良く出来た『サスペンス風味のスパイアクション映画』って感じの作品ですね。
あまり細かいことを気にせずに痛快に楽しめるスパイアクション映画を求めているのであれば、ヒロインも非常にカッコ良いですしなかなかオススメ出来る作品ではないかと思います。
ただ、前述のとおり前作が好きで同じようなノリを求めていると、ちょっと肩透かしを食らわされちゃう内容かもしれませんので、その辺は別物だと割り切って楽しんだ方が良いかもしれません。