女子高の教師である鮎川茜は、ある日、知人から見た人間が命を落とすという『呪いの動画』のウワサを聞かされる。
その動画は最初は「ニコニコ動画」で生放送として配信されたものの、『生放送に関わったスタッフや見ていた人間が全て死亡した事からネット上から削除されたものの、今だにゲリラ的にどこかのWebサイトにアップされ続けている』というものだった…
最初は単なる都市伝説と考えて動画の存在を信じなかった彼女だったが、彼女のクラスの生徒で熱心に『呪いの動画』を探していた一人の少女が原因不明の自殺を遂げてしまった事から『呪いの動画』が実在するのではないかと考えるようになり、その動画のウワサを追っていく事となるが…
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劇場にて「貞子3D」を観てまいりました。
タイトルだけ聞くと『「リング」を3Dにリメイクしただけ』みたいな印象を受けますが、「リング」シリーズの久々の完全な新作にあたる作品で、内容も別に原作無視の『なんちゃって新作』という訳ではなくて、キチンと「リング」の原作者である鈴木光司氏がストーリーを書いた正当な続編に当たる作品です。
(といっても「リング」の正統な続編のである「らせん」と「ループ」は、『何じゃそりゃ?』って感じの話なので、今更『正統な続編』にこだわるような作品でも無いんですけど…)
(といっても「リング」の正統な続編のである「らせん」と「ループ」は、『何じゃそりゃ?』って感じの話なので、今更『正統な続編』にこだわるような作品でも無いんですけど…)
ただ正統な続編と言いつつも、今までの「リング」シリーズとは殆どお話の繋がりは無くて単に『貞子』というキャラクターのみが共通項になってる感じなので、今までのシリーズを観て無くてもそこまで問題は無い印象。
さて今回の貞子は遂に『動画共有サイト』に進出という事で、あんな無差別に見た人を殺す『呪いのビデオ』が動画共有サイトにアップされてしまったら、それこそ『大量破壊兵器なみの殺戮が起こってしまうのでは?』という気がする訳ですが…
そこの所は『動画は既に削除されてるんだけど、貞子の怨念がネットを徘徊して犠牲者を探している』といった感じの展開で、上手い具合に設定を作ってあります。
加えて非常に『マンガ的なノリ』で、派手な見せ場は多いのですが『んなアホな!』というようなノリも多くて、初代の「リング」のような正統派のJホラー的なノリを期待してる人には不満が残る感じかも?
個人的にはプロットやストーリーは割と面白いと思ったのですが、謎解きプロセスやらヒロインの設定やらがちょっとご都合主義的&説明不足で、全体的に内容が薄っぺらい印象を受けたのは気になった部分かなぁ。
(まあ登場人物は「貞子」を知らなくても観客は知ってる訳なので、その部分を手厚く描写しても蛇足になるという判断なのでしょうけど、ドラマが全体的にアッサリしてる印象)
(まあ登場人物は「貞子」を知らなくても観客は知ってる訳なので、その部分を手厚く描写しても蛇足になるという判断なのでしょうけど、ドラマが全体的にアッサリしてる印象)
マンガ的という点では、特に終盤のあまりの『ブッ飛んだ超展開』には劇場で思わず笑いそうになってしまいましたよ。
ネタバレになるので詳しくは書きませんが、シリーズが好きな人だと『こんなの貞子じゃねえよ!!』とツッコミを入れたくなるかもしれませんが、個人的にはここまで吹っ切れてバカやってくれたら『コレはコレでありかな?』という感じ…
ただ、お話そのものはそこそこ楽しめたのですが本作の最大の欠点は、何よりも『全く怖くない事』かな?
お話のノリがハデでJホラーっぽくないという事もあるのですが、恐怖シーンの演出が『デカい効果音&3Dの飛び出す演出』のワンパターンで途中でちょっと飽きちゃうんですよね。
3Dを活かしたいのは分かるのですが、もっとシリーズの伝統である『Jホラーらしいジメジメした恐怖演出』もあっても良かったんじゃないかなぁ…
3Dを活かしたいのは分かるのですが、もっとシリーズの伝統である『Jホラーらしいジメジメした恐怖演出』もあっても良かったんじゃないかなぁ…
あと気になった部分としては、貞子が物凄い美少女なのもちょっと違和感を感じたかも…
まあ基本は『前に髪を垂らした姿』なので美少女もクソも無いのですが、素顔も『もうちょっと影のある感じ』のメイクとかしてても良かった気がしますよ。
まあ基本は『前に髪を垂らした姿』なので美少女もクソも無いのですが、素顔も『もうちょっと影のある感じ』のメイクとかしてても良かった気がしますよ。
ちなみに、本作の予告を観た時から『呪いのビデオをスマートフォンとか携帯で見たらどうなるのか?』という点が最も気になっていた部分だったのですが、スマートフォンの場合『手だけ飛び出してくる』という展開で、まあ妥当な感じ。
ただ、巨大ディスプレイから出てくる時は『巨大な貞子になる』ってのは、ちょっと反則気味で思わず笑ってしまいましたよ。(笑)
総評としましては、『「リング」シリーズの新作』と言われるとツッコミどころは満載だけど、個人的には『本来のシリーズとは別のベクトル』としては割と楽しめた作品でした。
かなりブッ飛んだ内容なので、正統なJホラーやシリーズを好きな人が本作をどう捕らえるかは賛否両論ありそうな気はしますが、気になっているのであれば『ネタとして観ておく』という程度のつもりで観てみる分には十分にアリな映画だと思います。
まあタイトルに3Dって付いてるような映画ですし、どうせ観るなら劇場の3D上映で観ておいても良いんじゃ無いでしょうか…
なんせ『世界で一番3Dが似合う女』ですからね。(笑)