■■■「ムカデ人間2」■■■
(40点/スリラー)
映画「ムカデ人間」を見て感銘を受けた地下駐車場の警備員のマーティンは、映画を溺愛するあまり『自分でもムカデ人間を作りたい』と考えるようになる。
彼は目標である12人の人間を連結するために、深夜に駐車場に来た客たちを襲って誘拐し次々と貸倉庫に監禁して行くが…
映画「ムカデ人間」を観て感銘を受けたキ●ガイが自分でもムカデ人間を作り出そうとするという、「ムカデ人間」の続編に当たるサイコスリラー映画。
まず、映画が始まった瞬間からいきなり白黒映像だったで面食らいましたが、最近はこういう『グロいのを抑える為に敢えて白黒で撮る』という手法が流行っているんでしょうか?
とまれ、前作の「ムカデ人間」は、その発想の変態度合いや狂気っぷりが評価されて『良い意味で酷い映画』という感じの作品だった訳ですが、本作は何と言うか『悪い意味で酷い映画』という感じの作品ですね。
酷いといっても前作より出来が悪くなったという意味ではなくて、方向性が全く違いすぎるという印象で、とにかくグロいそしてひたすらキモいだけの映画になってしまって、前作の良さを完全にスポイルしてしまった印象です。
まあ「ムカデ人間」の映画を見て感化された人間が主人公というメタ的な設定といい、監督もそういった『前作と同じテーマで有りながら全く異なる方向性』といったところを狙って作ったのだと思いますが、ソレを理解したつもりで観てもかなりキツい作品ですね。
前作は犯人のハイター博士も『天才である故の行き過ぎてしまった狂気』という感じで魅力的だったのに関して、今回の犯人は単に『ただただ歪んだ性格のキ●ガイ』といった感じで、キ●ガイの上にデブでチビでハゲの変態という『キモさの数え役満』のような状態。
ホントにやる事なす事ひたすらキモい主人公なのですが、敢えて主人公にセリフを一切与えずにアクマで客観的な視点から『感情移入せずに観れるように作っている』のは、なかなか面白い構成かも?
お話の内容も前作のようなブラックユーモアという感じではなくて、中身は殆ど無いも同然でとにかく『ひたすらキモいシーンの連続』といった感じ…
ストーリーの序盤~中盤は、主人公のキャラクターや背景を語るような展開がメインなのでまだ良いのですが、中盤以降は『主人公が捕まえてきた人たちを使って、麻酔も無しで外科手術を行ってムカデ人間を作ろうとする』という展開が延々と描かれるだけなので、ひたすら痛そうだしグロいしで観ていて本気で気分が悪くなるレベルです。
まあ白黒映像なのでショッキングさはだいぶ抑えられてはいますが、本気で心臓の弱い人やグロに体制の無い人は心が折れるレベルのエグさなので、そういうのが苦手な人は絶対に観ないほうが良いでしょう。
そういうのが苦手じゃない自分が観ても『ちょっと辛いレベル』なので、ここまでエグい内容にする必要があったのかと、ちょっと疑問を抱いてしまいますよ…
まあ、『前作の「ムカデ人間」を観て感化されて人間が犯罪を犯す』という設定からして、『映画の影響で実際に犯罪を犯す人間が居るかもしれないという理由で暴力的な映画を批判する人間』に対するメタ的なブラックユーモアになってたり、前作の主人公とは別のベクトルで『歪んだ欲望だけの狂気』を描こうとしたりと狙ってる方向性は分からなくは無いんですが…
なんというか『それにしても、ちょっと限度があるだろ…』って感じの映画でしたよ。
総評としましては、良い悪い以前の問題としてとにかく『ひたすら気持ち悪い映画』といった感じの作品です。
ホラー好きの私が言うのもなんですが、よっぽどグロ映画やエグい映画に耐性がある人ならともかく、そうでない場合は正直言って観る事を推奨しません。
前作のノリが好きだった人もよほど方向性の違う作品ですので、観るつもりならばちょっと注意が必要かも?
まあ『怖いもの見たさで観てみたい』というのなら止める事はしませんが、少なくとも『精神的に不安定な状態』とかあと『食事中』とかには決して見ない方が良い作品だと思いますよ…