NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ムカデ人間3」(50点/サスペンス)

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■■■「ムカデ人間3」■■■
(50点/サスペンス)

 凶悪犯を収監するアメリカのジョージ・ブッシュ刑務所。

 刑務所で独裁的な支配を行っている所長のビル・ボスは、彼の刑務所が全米で最も暴動が多く、医療費や離職率も高い事に頭を悩ませていた。

 あまりの運営状況の悪さから州知事から解雇を告げられた彼は、なんとかして刑務所の状況を改善しようとするが、そんな最中、助手のドワイトから映画「ムカデ人間」のように囚人達の全員を繋げて管理するというアイデアを持ちかけられる。

 最初は助手のアイデアを一笑に付していたビルだったが、囚人達をひとつに繋げる事によって暴動も起こらず食費や維持費も大幅に削減できると説明を受けた彼は、このアイデアを実現しようと画策するが…



 頭のおかしい刑務所の所長が囚人達を完璧に管理するために一つに繋げて『巨大ムカデ人間』を作ろうとするという、コメディ風味のサイコサスペンス映画。

 ムカデ人間」シリーズの3部作の完結編となる作品なのですが、1作目は良質なサイコサスペンス2作目はひたすらグロいだけの映画となっていたので3作目はどういう風に展開するのかと思いきや…

 『ああー、そいうい方向に行っちゃったのね…』という感じではあるんですが、ひたすらブラックなネタを連発するサイコサスペンス風のコメディ映画になってしまいました。

 そしてなんというか、2作目もひたすらグロいだけの胸糞の悪い映画でしたが、本作も別のベクトルで非常に胸糞の悪い映画ですね。

 何が胸糞が悪いって、主人公である刑務所の所長の徹底したゲスっぷりがとにかく物凄い!!

 超弩級のサディストで囚人達を人間とも思わないぐらいに扱い、周りの人間の意見は全く聞かないという超ワンマンの独善的な性格で暴力と暴言を周りにブチまけまくる。
 そして、その割に小心者で超ヘタレという情けなさの溢れる物凄く濃いキャラクター。

 ぶっちゃけ、映画の本編は『刑務所長のキ●ガイ独演会』を90分間ずっと聞かせ続けられているような状態です。

 そんなキ●ガイの独演会映画の何が面白いんだ…って話ですが、まあ確かにサスペンスとして観ると『なんじゃコリャ?』って感じの内容なんですけど、コメディとして観る分には『こういうのもアリかな?』という感じ…

 ネタとしても、1作目の医者と2作目の警備員が本作で主役の2人(所長と助手)を演じていたり、監督のトム・シックス自身が本人役で登場していたりと、ちょっと楽屋オチ的なネタが強すぎる気もしますけど『1~2作目を観てくれたファン向けのネタ映画』として作られている雰囲気はなんとなく伝わりますし、またひたすら気持ち悪いだけだった2に比べると、本作は同じ胸糞悪いネタにしてもだいぶ観やすくなった印象です。

 ただネタ映画としては良いものの、それ以前に本作の最大の不満はウリである筈の『超巨大ムカデ人間』の出番が殆ど無いという事かなぁ?

 所長のキ●ガイ独演会のシーンばかりが物凄く長くて、ムカデ人間は最後の方でチラっと出てくるだけみたいな状態なので、せっかく500人のムカデ人間とか作ったんだから、もうちょっとキャラを活用した仕掛けが欲しかったです。

 あとまあコメディ路線になってしまったという事で、1作目のような良質サスペンス的なノリを期待していた人が居たら2作目以上に初期と方向性が違いすぎてガッカリしてしまうと思うので、そういう方面を期待しているのであれば観てみなくても良いかもしれません…


 総評としましては、『かなり胸糞が悪くて観る人を選ぶブラックユーモア系サスペンス映画』って感じの作品ですね。

 まあ1~2作目を観た人なら楽しめる要素も多いので、ネタ映画としてチェックしておいても良いと思いますが、そうでなければ本作だけ観てもあまり楽しめないと思うので、観るならばとりあえず1と2を観てからにしましょう。

 あとサスペンス路線を期待してると肩透かしも良いところだと思うので、今回はネタ映画だと割り切って観る事をオススメしますよ。