■■■「デビルズ・ノット」■■■
(55点/サスペンス)
1993年5月、アメリカのウエスト・メンフスという田舎町で、3人の少年が何者かに惨殺されるという事件が発生する。
死体は両方の手足を靴ヒモで縛られたうえで暴行を受けた跡があり、異常者の仕業だと判断した警察は少年達の知り合いでハードロックが好きな3人の高校生を『悪魔崇拝者』だとして容疑者として逮捕。
高校生の凶悪犯罪というセンセーショナルな内容に全米が注目するなか、事件のあらましや容疑者たちの証言に不自然なものを感じた探偵のロン・ラックスは、弁護士に協力するために独自に事件の調査を開始するが…
1993年にアメリカの田舎町で起きた児童殺害の凶悪犯罪の冤罪の容疑者を救うために私立探偵の男が真相を追っていくという、ミステリータイプのサスペンス映画。
おそらく冤罪と思われる殺人事件の真相を探偵が探るうちに、徐々に不自然な証拠や予想外の真実が見えてくるという感じの流れのストーリーで、お話そのものはミステリーの構成としては割と秀逸で、そこそこ面白いとは思うのですが…
ネタバレなしで本作の感想を書くのがあまりに困難なので、思いっきりネタバレありで書かせて貰います。
これから本作を観ようと思っている人は、絶対にこの先は読まないようにして下さい。
*********************以下、ネタバレ改行*********************
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*********************ここよりネタバレ注意*********************
なんと言うか、ひとことで言ってしまうと『超胸糞の悪い映画』です!!
お話的には、絶対に犯人ではあり得なさそうな3人の若者たちが世論や警察の体面のために無理矢理に犯人に仕立て上げられていくという茶番で裁判が進められていく感じの流れなんですが、とにかく観ていてイライラする事しきり。
主人公たちが真相に近づいていっているのに対して、検察とか警察が『発達障害の若者から無理矢理引き出した自白』とかの矛盾点の多い証言をもとに若者たちを犯人に仕立て上げようとする流れは、ホントにムカついてストレスが溜まりますよ。
当時は科学捜査も今ほど進んでいなかったうえに、今に比べると自白強要とかも日常茶飯事に行われていたような時代だったってのもあるのでしょうが、世論を味方に付けて『結論ありき』で裁判を進めていくという展開は観ていてちょっと怖くなりました。
まあ、当時はハードロックというジャンルも世間に認められていなかったという事もあって『悪者』にされやすかったんでしょうが、今の日本でも凶悪犯罪とかが起こる度に、しょっちゅうマスコミが世論を煽って『オタクバッシング』みたいなのが行われる事を考えると、2重の意味で胃が痛くなる思いでしたよ…
でも実際にこういう結論ありきの『若者叩き』とか『サブカル叩き』は永遠に無くならないんだろうなぁ。
(ホラー好きでアニメ好きという自分のような趣味の人間としては、ホントにこういう偏見の固まりみたいなバッシングは勘弁して欲しい…)
しかし設定以上に何が胸糞って、本作の最大の胸糞なポイントは『最後まで事件の真相が全く分からない』という事。
主人公たちが事件を追っていくものの、結局真相がなんだったのか全く分からないままに若者たちが有罪判決を受けて終わってしまうので、最後まで観ても全くカタルシスが得られません!!
ラストの10分ぐらいまで進んだところで、ちょっと不穏な空気になってきたので『え、これヤバくない?』と思ってたら、ホントに投げっぱなしのままにバッドエンドで終わってしまうので参りましたよ…
まあ『事実をベースとした作品』らしく、実際の主人公や被告の少年たちのその後とかもラストで語られたりするのですが、もうちょっと映画らしくアレンジされても良かったんじゃないですかね?
(まあ『冤罪』という問題提起をするのが目的の映画だと思うので、事実を曲げてカタルシスのあるオチにする訳にはいかなかったんでしょうけど…)
総評としましては、お話としては割と面白いんですけど『物凄く胸糞が悪くなる上にストレスの溜まる映画』でした。
サスペンスとしての完成度は割と高いので、気になっているのであれば観るのは止めませんが、観終わった後にスッキリした気持ちになりたいという人には全くオススメできない内容です。
とりあえず観てみる場合は胸糞悪い気分になるのを覚悟完了して、ストレスを溜めても良い情況で観る事をオススメしますよ。
(ホラーとかでバッドエンド慣れしてる自分でも、本気でかなりイライラしてしまったので…)