不慮の事故で亡くなった父から牧場を引き継ぐこととなったOJは、妹のエメラルドと共に牧場を経営するものの、妹は牧場に興味が無いうえに、彼自身も口下手な性格と父に劣る調教の技術の無さから、牧場の経営が傾き父から相続した馬たちを手放さなければならなくなっていた。
そんなある日、牧場から逃げ出した馬を追って荒野をさまよっていた彼は、雲の合間を隠れるように飛ぶ巨大なUFOのようなものを目撃。
妹にそれを話したところ、牧場を立て直すために『UFOを撮影してその映像で一攫千金を得る事』を提案されるが…
劇場にて「NOPE/ノープ」を観てまいりました。
「ゲットアウト」のジョーダン・ピール監督の新作ということに加えて、観てきた人たちの評価も高い人が多くて一部界隈で話題となっている本作ですが…
思った以上にパンチの効いた内容でちょっと観る人を選ぶ映画だとは思いますが、確かにこれは評判が良いのも納得の良作という印象でしたよ。
ただ、ネタバレが致命的になるような作品とまでは行かないものの、可能であれば『何も知らない状態』で観た方が楽しい映画だと思うので、観に行く予定の人はここから先の感想は読まない方が良いと思います。
一応、大きなネタバレは無いようにレビューを書きますが…
*************** ネタバレ改行 ***************
*************** ネタバレ改行 ***************
*************** ネタバレ改行 ***************
*************** ネタバレ改行 ***************
*************** ネタバレ改行 ***************
*************** ネタバレ改行 ***************
*************** ネタバレ改行 ***************
予告を観ると『UFOによるアブダクション』を題材とした不思議系SFサスペンス映画みたいな印象を受けますが、その実態は予想以上にねっとりとして不気味な『怖い映画』というのが正直な感想。
けっこうエグいシーンもあったりするので、予告のヌルそうなノリに騙されて観に行った人が居たらトラウマになっちゃうんじゃないかと、ちょっと心配になるレベル。
序盤から、過去の『ホームドラマの撮影中に起きた悲惨な事故』やら、主人公の父親が亡くなった『不可解な不慮の事故』のシーンやら、印象的な不気味なシーンの連発に加えて、IMAX上映に向けて作られたという観る者の不安を煽るような『観客を包み込むような音の演出』が要所要所に仕込まれており、観ているだけでどんどん『嫌な気分』になっていくような構成が上手いです。
また序盤は雰囲気映画っぽい感じで、ひたすら『不穏な空気』を盛り上げつつ『UFOに隠された秘密』という謎を提示していくという割とスローテンポな感じなのですが、序盤のテンポに反して中盤からは予想外の展開の連発で恐ろしくスピーディで迫力のある怒涛の展開に突入していくという作りなのも面白いです。
ラスト辺りとか本気で全く先の読めない作りになっていて、かなり手に汗握る内容でしたよ。
また全体的な構成の上手さに加えて、細かい伏線の仕込みの上手さも割と感心させられたところ。
序盤から何度も印象的に挿入される『ホームドラマの撮影中の事故』が、お約束的に後半の展開の伏線になっていたり、『そんなしょうもないシーンが実は伏線だったの!?』というようなトンデモ系の伏線が大量に仕込まれていたりしたのは、ちょっと笑ってしまいました。
(普通は『空気圧で踊る人形のディスプレイ』が、後半のキーアイテムになってるとか思わんだろ(笑))
主要登場人物たちのキャラの掘り下げもシッカリしていますし、メインキャラ各位にキチンと見せ場が用意されてるのも良い感じですし、とにかく丁寧に作られた作品という印象。
難点を上げるとすれば、ちょっと尺が長めなせいもあって序盤で少しダレる印象があったので、仕込みの部分はもうちょっと短めでも良かったかも…ってぐらいかなあ?
総評としましては、『なかなか良く出来た佳作レベルのSF風味のサスペンスホラー映画』という感じの作品ですね。
かなりケレン味の強い内容なので好みの割れそうな映画ではありますが、個人的には『今まで観た中で一番怖かったUFO映画』と言う印象の映画でしたよ。
SF系ホラーとかが好きで気になっているのであれば、間違いなく観ておいて損は無い作品だと思うので、出来る限りネタバレを踏まないうちに観ておく方が良い一本かもしれませんよ。