NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ムカデ人間」(70点/サスペンス:オススメ…だけど観る人を選ぶ)

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■■■「ムカデ人間」■■■
(70点/サスペンス:オススメ…だけど観る人を選ぶ)

 シャム双生児の分離手術の権威であり、今まで数々の『分離』手術に関わってきた外科医のハイター博士は、とある欲望に取り憑かれるようになっていた。

 その欲望とは『分離』ではなく、3人の人間の口と肛門を『結合』させて新たな生命である『ムカデ人間』と作るという恐るべきものだった。

 そんな矢先、ヨーロッパを旅行中に車がパンクしてしまい森の中で立ち往生してしまったジェニーとリンジーの2人は、助けを求めて森の中をさまよううちに一軒の家に辿り着く。

 ハイターと名乗る初老の男性に家の中に案内された彼女らは、薬によって眠らされて地下室のベッドに縛られて目を覚ますが…



 3人の人間を結合した『ムカデ人間』を作る事に執念を燃やすマッドサイエンティストの狂気を描いた、カルト風味のサスペンスホラー映画。

 「つ・な・げ・て・み・た・い。」というキャッチコピーでB級映画マニアの間で話題になった本作ですが、劇場で公開された時にうっかり見逃してしまったのでDVD化されるのを待っておりました。

 まあ何と言うかウワサには聞いてましたが、ホントに『酷い映画』ですな。
 むしろ、ここで言う『酷い』というのは良い意味での『誉め言葉』と考えて欲しいのですが、そういう意味で掛け値なしに『酷い』です。

 まず何が酷いって、3人の人間の口と肛門を直結して『ムカデ人間』を作ってしまおうというマッドサイエンティストの設定。
 いやいや、ソレって結合に成功しても2番目以降の人の人生は最悪だろ。(笑)

 とまれ何かと衝撃的な『ムカデ人間』の設定ですが、この『設定のインパクトだけの映画』かと思いきや肝心の内容の方もサスペンスとして割とシッカリと作られています。

 こんな映画でどうやってストーリーに起伏を付けるのかと思いきや、ハイター博士がマッド故に意外と隙が多くて、ムカデ人間たちが逃走を企てようとするシーンがあったりとキチンと盛り上がるシーンが準備されているのは良い感じ。

 しかもシリアスなシーンに成ればなる程、ムカデ人間』の絵面がシュールすぎて可哀想なんだけど笑えてしまうという、なんとも矛盾した感覚。

 主人公の役者さんもハイター博士の狂気っぷりを熱演してて良い感じですし、ハイター博士と舌戦を繰り広げる『関西弁の日本人青年』が良い味を出し過ぎ!!
 この2人のキャラは個性的過ぎて、色んなシーンで楽しませて貰いました。

 この2人のキャラ立ての上手さが、本作を非常に良い物にしてると言っても過言では無いレベルではないかと…

 ラストのハイター博士とムカデ人間との対決シーンも熱くて良かったですし、なんとも言えない気分になってしまうオチもなかなか上手い落としどころだと言えるでしょう。

 この辺りの完成度はムカデ人間』という奇抜な設定が無かったとしても、普通にサスペンスとして十分に楽しめるレベルに仕上がっていると思います。

 ツッコミどころは多々あるものの、中途半端に医療の知識が使われている辺りとかも妙にリアリティがあってイヤンな感じにさせてくれますし、カルトムービーとしてもなかなかに上質。

 ただ冒頭で言ったとおりとにかく『酷い映画』なので、『心の弱い人』や『精神的ショックを避けたい人』は観ないほうが無難です。
 うっかり子供とかがこの映画を観てしまうと、本気で一生もののトラウマになりかねませんので…


 総評としましては、個人的にはかなり楽しめた作品ですし、こういう『変な映画が好きな人』には間違いなくオススメ出来る作品です。

 でも万人にはとてもじゃないけどオススメ出来ませんし、ヘタに他人に『この映画が好き』なんて事を言うと500歩ぐらい引かれてしまってもおかしくない作品なので、観たい人はコッソリと楽しむのが良い作品でしょう。

 インパクトのあるキワモノ映画』に飢えている人でしたら、迷わず観ておいて損はない作品だと思いますので、そういうジャンルが好きならば是非ともチェックしておくべき一本だと思いますよ。

 ちなみに余談ながら、本作は全3部作だという話なのですが…こんな映画にどうやって続編を作るんだよ!?
 気になるから次も観てみたいような、一発ネタ的に駄作になってそうな気もするので観てみたく無いような…